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蛇の目

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「銀行屋のやつらぁ、手のひら返したように、そそくさと撤退して行って。
埼玉の鉄道屋のやつらぁ、余計な利子までつけやがって。
後で知った話じゃぁ、あん竹下ぁいうイカレポンチと田中にさ。
ワシはぁ、まんまと乗せられただけだっていうじゃないさ。」

「あの田中角栄によ。
むかぁし県境を越えてワシんとこの土地とおんなぁ狙って。
その後は、まるで戦後のまま、放っておいてよ。
そのうえ、バブル崩壊に乗じてさ、この土地はぁ、また人知れずの
辺境の土地に逆戻りだっぺ!」

続く平成の大合併で、村は隣の市に吸収され集落になった。
嘗ての玄戒村に残されたのは「玄戒村グランドホテル」と云う名の
民宿と水力発電所だけである。

「馬鹿息子には、手を焼いておってな。
アイツの出来の悪さには、ほとほと手を焼いている。
それに比べりゃァ、アッチのセガレは、敵ながらアッパレだな。」
敵と、いいますと?
「川辺ン家のセガレよ。あのガキゃ、鯉の養殖だか知らんが
店も構えずに電話線で商売してよ。」
ネット販売?

「ふん。羽振りのいいところ見せやがって。町議会選挙出やがって。」
あぁ、川辺惣太郎議員ですか、このあたりに大掛かりな介護施設を
作ろうとされていますね。
「馬鹿な。年寄り集めたって、銭になんかなるもんか!
しかもアイツの作ろうとしてるところは、川向こうの窪地だ。
地域振興の思ひと云うもんわ、まったく無いわな。」
作品名:蛇の目 作家名:平岩隆