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蛇の目

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昨日同様、スーツに身を固めた「山本権造」のネクタイは、
今日は黄色だった。
小顔の割りに随分と大きな黒メガネをかけているせいか
どうも生気を感じないのは・・唇のいろが悪いのだ、と気付いた。
なんともどす黒く変色しているような、しかし高齢者。
それもありえることなのかもしれない。

それでは二日目のインタビューを始めさせていただきます。
昨日は、戦中までの貴重なお話をお聞かせいただきました。
今日は戦後、復員後からのお話をお願いいたします。

例によって、小声でムニャムニャ話す山本権造の言葉を
息子の幸造が伝える形式である。
「戦後、復員してきた、といっても人よりはだいぶ遅くなってさ。
品川の波止場についても、すぐには帰りたくなかった、と。
東京でぶらぶらして。3 年ほどしてから、ここに帰ってきたってさ。」
山本権造は、表情を変えなかったが、鼻を鳴らした。
「最初の連合いには、気の毒なことした、と。」
最初の奥様ですね、東京でお知り合いになった・・。

「所詮、血の問題です、と。」
血の問題?といいますと・・?
幸造が、権造に問い直すと、権造は幸造をジロリと睨みをきかせて
ひとことムニャムニャ云った。ひとことずつ云っているらしい。

「不思議な血統のハナシなんですが。」
「夢を見た、と。・・ここの。そして、家族の。」
「どうしても帰ってこなければならない、気分にさせた。」
「最初の連れ合いは。ここには来たくない、と。」
「仕方の無いこと。無理矢理連れて来てもな、
で、敢え無くひとりで帰ってきた、と。」
作品名:蛇の目 作家名:平岩隆