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連載 たけこさん (終)

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8話 男性諸氏に告ぐ


 富士夫は犬のゴン太を連れて、近くの公園をのんびりと歩いていた。

 日曜日の公園は、父と子供がキャッチボールやボール蹴りをしている姿が目立つ。
 遊具で幼児を遊ばせているお父さんもちらほら。
 平日は、母親たちが輪を作っておしゃべりに興じている姿を見かけるが、父親たちには、そういったつながりは全くないらしい。

 富士夫は、ベンチに座っているひとりの男性に目をやった。連れはないようだ。そして元気がない。近づいてよく見ると、会社の後輩の尻帆かけるではないか。

「尻帆君とちゃうか」
「あ、山谷さん、おはようございます」
「おはよう、ひとり? たしか、息子さんがいると聞いてたけど」
「はあ・・・」

 尻帆かけるはベンチの端により、席を空けた。
「なんや元気がないみたいやなあ」
「ちょっと、うちのと・・喧嘩しまして・・・」
「喧嘩するほど仲がエエゆうやつやな」

「うちのやつ、しつこいんですよ。結婚前の約束をよう覚えてて、なんかゆうと、それを持ち出してきよるんですわ」
「ほう、例えばどんな?」

「約束ゆうより、夢を語ったんですわ。『庭付きの一軒家を持とう』とか『車を買おう』とか『年に1回は海外旅行に行こう』とか。そしたら『家はいつになったら買えるの』とか『海外旅行はどうなってるの』とか。それで喧嘩になりまして・・・」

「それは大変やな。女ちゅうもんは夢と現実を一緒に考えよる。それにな、できる男ほど具体的な約束をしたがる。オバマがそうやって窮地に陥ってるわな」
「じゃ、なんて言えばよかったんですか?」

「たとえばやなぁ、『君を幸せにできるよう頑張る』やったら『頑張って働いてるやろ』て言い返せるやろ」
「なるほど」
「『いつも笑顔でいよう』それだけでええんや。花束ひとつで笑顔みせてくれるやろ」
「よくご存じですね」
「いやいや、新聞のコラムにそう書いたあった」
「そうですね、早速花でも買うて帰りますわ。ありがとうございました!」


 富士夫は、今自分が言ったことが気に入り、花と和菓子を買って帰った。

「おい、これお前にだ」
「ムムムム、私はまだ仏様とちゃいます!」

 むなしく引っ込めた、菊の花とおはぎ。

 かくも、女の扱いは難しいものなり。