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南の島の星降りて

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南の星は輝いて


今日は 夏樹が沖縄から帰ってくる日だった。
稲村ガ崎は夏らしい静かな海だけど人ごみだけはすごかった。
「早く帰ろうよ。夏樹何時に帰ってくるのよ?」
朝から大場は何回も同じ事を聞いていた。
「だからさー俺に聞くなって。俺の彼女じゃないんだから知らないよ。電話もないしさ。夕方って言ってたから夕方なんでしょ」
俺も、何回も同じような返事をしていた。ちょっと大場には呆れていた。
「やっぱ、帰ろう。今でたらさ3時ごろにお前の家つけるだろ。そいでほら、食べ物とか飲み物とか買い物したら夕方じゃん。夏樹帰ってきてさ、俺らいなかったら寂しいだろう。なっ”!」
いつの間にか 俺らになってる大場に笑っていた。
「お前が、俺の家で待ってるなんて、夏樹しらないけど・・」
ちょと 怒った顔で
「なんだよーひどいよー俺の夏樹が帰ってくるんだから、そんな、細かいことはいいんだよ。おめーなんか俺の気持ちなんか一生わかんないんだよー」
必死な大場は同い年でもかわいかった。

ボードを抱えて大場はずーっと俺にまくしたてていた。
「俺な、昨日早く家でてここに夜中の3時に着いたのよ。真っ暗よ。ほいで、良くわかんないけど沖縄の方見てさ、思ったわけよ。沖縄ってあっち?」
指差して聞いてきたけど、まったくわからなかった。
「ま、そいでさ、星が綺麗なわけよ、めずらしいぞー夏なのに・・。でさ、夏樹もさ、あの星見てるのかなーなんて思ったりして、そりゃ 見てないのは知ってるぞ、俺もバカじゃないからさ・・でもな 南の方になんか綺麗な星が1個光ってるのさ・・どうにも夏樹に見えてさ、それが・・。 俺ってなんかバカか?」
まじめな顔で 聞いてきたのでとっても笑うわけにはいかなかった。
「うーん。星がお前に笑いかけでもしたか?」
聞いたくせに、俺の声は聞いてないようだった。
「いいから、早く帰ろう。置いてくぞ柏倉!」
俺を置いていったら俺の家にもはいれないくせに・・って思っていた。

それから 3時間も世田谷までかかった。
大場が帰り道に、この店の肉がうまいんだとか、この店が野菜おいしいのよ、とか言いながら車を止めてばっかりいたからだ。
しまいには、鉄板焼きしよう!って言い出して、俺にそれまで買わせていた。どうも俺の家は、本日鉄板焼きらしかった。

夏樹が俺の家に来たのは、7時過ぎだった。
大場は、シャワーあびてなーんもしないで、ずっとソファーで寝ていた。おかげで一人で鉄板焼きの準備をしていた。

作品名:南の島の星降りて 作家名:森脇劉生