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南の島の星降りて

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南の星はおみやげかかえて


玄関のチャイムが鳴ると いきなり大場は飛び起きて玄関に走っていた。
「おかえりー」
玄関を開けていた。
「わ、なに 」
聞きなれた夏樹のビックリした声が聞こえてきた。
「いいから、いいからあがりなよ。」
大場は夏樹が持っていたバッグを手にリビングに戻ってきた。
夏樹も、ちょっと笑いながら部屋に入ってきていた。
「疲れたー。劉おじゃまするねー。はぃお土産」
言いながら大場から荷物を取り上げていた。まっすぐここに来たらしく荷物が多かった。
カバンをあけて、袋を取り出していた。
「いいなー俺にはないのかよ」
大場はわざとふてくされた顔をしていた。
「劉にわけてもらいなよ。でも、ビールとゴウヤとパパイヤとハムだぞ。大場食べさせてもらいなさいよ劉に。劉、料理上手らしいよ・・」
大場は俺があけた袋の中身を不思議そうに見ていた。
「このビールはわかるけど、ほかのはなんだかさっぱりわかんないや」
大場は言いながらゴーヤを不思議そうに見ていた。
「俺、夏樹が作ったのが食べたいわ。劉がつくるのはいいわ」
大場らしかった。

ビールはオリオンビールで沖縄のビールらしかった。
飲みたかったので 冷凍庫で冷やしてみた。
大場も夏樹も俺も、おなかぺこぺこだったのでソファーの前のテーブルに卓上ガスコンロを置いてさっき買ってきた焼肉用鉄板も乗せて買ってきた肉と切った野菜を一緒に置いた。
「さ、食べてー夏樹」
大場は金も出してないくせに、まるで自分が全部おごるかのようだった。
鉄板が熱くなると大場は、一生懸命 肉も野菜も焼いていた。
クーラーをガンガン聞かせて、モリモリ食べる顔が陽に焼けて真っ黒の3人だった。
「なんで 今日さ大場はここにいるのよ?」
夏樹が肉をほおばりながら、右隣の大場に聞いている。
「今日、夏樹が帰ってくるからさ みんなで楽しいお食事会したかっただけよ。おれら、良く考えたら3人で食事したことないじゃん。夏樹とちゃんと食事するの俺初めてだから・・うれしいのよ。俺」
身振り手振りだった。
「なんか、この1週間で、あったのか?大場?」
あきれて、聞いてるようだった。
「いやー南の星が綺麗なのよ。気づいたのよ。はっきり」
わけわからない大場だった。
不思議そうな夏樹だった。
ちょっと、うけて、笑っていた俺だった。
「劉よー夏樹のお土産のビール飲みたいなー俺。もう冷えてない?」
のどが渇いていたので俺もそろそろいけるかなーって思っていた。
ものすごく冷えてはいなかったけど、飲めそうだったので飲むことにした。
オリオンビールで乾杯していた。なににかはわからなかったけど、大場に言わせると、始まりの乾杯らしかった。

食べながら、飲みながら3人で沖縄の話をずーっと聞いていた。夏樹もうれしそうに、田舎の話をしていた。
大場は 沖縄弁を一生懸命教わっていた。ちょっと気をつかって俺はTVばかり見てるふりをしていた。

「なんかお腹いっぱいで眠くなっちゃった。ちょっと横になるね・・」
夏樹はソファーに横になった。俺は一人で片付け物をして、大場は「うんうん、やすんでいいよ」なんて言いながらボケーっとしていた。

しばらくすると 夏樹は寝息を立てていた。
おまけに大場もソファーの下で横になって寝ていた。
時間は11時をまわっていた。

世田谷の窓から空を見上げても夏空に、たいした星は輝いていなかった。
こいつら、いつ帰るんだろうって思ったけど、夏樹の穏やかな顔も大場の子供みたいな顔も見飽きなかったから、ま、いいやって思った。

作品名:南の島の星降りて 作家名:森脇劉生