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大人のための異文童話集1

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第8話 見否聞否言否三猿



なんだか天気予報も当てにはならい。
今日のお天気…気付くといつの間にか雨雲が広がっている。

捨てられ転がっている空缶を見つめる。
拾う気にはなれず、見ていると何故かムシャクシャしてくる。
ボクは力一杯にそのムシャクシャを蹴り飛ばす。

蹴られた缶は、高く勢いよく曇り空へと舞った。
少し気分がよくなった、でもまだお腹の底が騒いでる。

ボクは舞い上がった空缶の行き先を目で追った。
飛んで行く空缶。
その軌道の先きにキミがいた。

キミにすれば、どこからともなく降ってきた空缶。
それが頭にポコリと当って、ボクに気付いた。

それを見ていて、また少し…気分の中からムシャクシャが出て行った。
その空き缶を拾ったキミ。
そしらぬ顔をして立っているボクの方にやって来る。

私は何もしていないのに、どうして私にぶつけるの。
私はただ、楽しいことを思って待っていただけなのに…どうして?
キミは涙目でそう言った。

別にキミにぶつけるために蹴った訳ではないんだけど…。
そんなことを言ってると、出ていったムシャクシャが帰って来た。