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I hate a HERO!!

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「あー、英兄ちゃんおかえりー。んでもってただいまー」
「おー。ただいまでおかえりー」
「お帰り鞠愛」
「召愛お兄ちゃんもただいま」
 同じ調子で鞠愛にかえした。
「母さんもお帰り」
リビングの入口に立っている母さんにもそう返したが、それに対する返答はなかった。
「母さん?」
何も言わず至極不思議そうな顔で立つ母さんに呼びかければ帰って来た返答は予想を外れていた。

「ひでくん……何で家にいるの?」

「は?」
一体それはそう言う意味だ。
ここは宝田という家族の家であって、俺はその宝田家の次男であって、つまり俺の帰る家はここであって、ここが俺の家であるはずなのだが……え?何?行き成りに遠まわしに勘当宣言?
「…母さん、主語を入れなくては話が読めないよ」
俺の困惑を察してのと、自分でも処理しきれなかったのであろう兄貴がいまだフリーズ中の俺の代わりに言ってくれた。
「えっ…ああっ!ちょっとびっくりしたのよ。家のポストにこれがあったから…」
俺・兄貴・鞠愛で母さんの差し出したソレを覗き込んだ。

「古い」
「多いね」
「読みにくい」

因みに右から俺・兄貴・鞠愛。

それは正に巻物のように巻かれた長い紙で、もちろん中に文字はあった。ご丁寧にも全部新聞記事の切り抜きで一メートルは軽く超すソレに己の意思を綴るには大量の新聞紙と腕の力と集中力を要したに違いない。なんて…。
「めんどくさいことを」
「読む気失せるよね。ここまで長いとってか鬱陶しくて僕ちゃん様なら燃やす」
「鞠愛。手紙って言うのは相手の気持ちがしっかりこもってるんだからね。ちゃんと読まなくてはいけないよ」
「いや、兄貴。確かに実際手紙はそういう気持ちで見るべきだけどいまは突っ込むところそこじゃない」
痛くなるようなっていうか既に痛み出した頭を押さえながら言う。
その長ったらしいものに目を通し、その内容を分かりやすく要約すると、どうやらこれを作ったのは兄貴と同じヒールらしい。
手紙―ソレを手紙と呼んでいいか否かの疑問は置いておいて―にはヒールに受かるまでの苦労(一応ヒールにもオーディション・スカウトまがいなものがある。因みに兄貴は出身がこちら側なのと成績優秀の為、簡単に受かった)とヒールになってからの苦労話と(ヒールになってからキャラ付されるまでは平社員として平戦闘員をすることになる。因みに兄貴はすぐキャラ付が決まり活躍の場に出た)自分の悪行がどこまで語られているかと(ここに書かれてるヒールの名前は俺の記憶には無いし、いつもそれらの話で盛り上がるクラスメイトの話に名が挙がった記憶もない。因みに兄貴はいつも話に名が挙がる)どれだけ自分が兄貴に勝り、兄貴に優れているかということと(ここで兄貴の訂正が入ったが、訓練の際に、この人物は一回も兄貴に勝ったことが無いらしい)つまりは…。
「唯の僻みを綴った手紙じゃないか」
だいたいここまで誇らしげに自分の功績と名前を語れば確実に招待はバレるわけで、新聞の切り抜き文字で手紙を作った意味が一切理解できない。
「そこらへんはどうでもいいのよ。どうでもいいから」

二回言った。母さん、どうでもいいって二回言った…。

「大事なことは念を押さないとダメでしょう」
「母さん心の声聞かないで…で、これのどこになにがあるわけ?ただの地味な嫌がらせ文にしか見えないけど?」
「大事なのはこっちなのよ」
そう言って一枚の簡単に折りたたまれた紙を差し出す。
「大事なのそっちならなんで先にそっち出さないんだよ」
「何となく…」
…駄目だ。気にしちゃ駄目だ。そう思いながら二つに折られた紙を開けるとそこには普通に鉛筆で文字が書かれていた。何でだ、オイ。あれか?疲れたのか?あの長文を作り上げるのに全ての集中力とか他のもの全部費やしたのか?
そんなことを思いながら内容を読んでいった…。


「…………は?」


作品名:I hate a HERO!! 作家名:727