I hate a HERO!!
「どういうつもりだ母さん!!」
「あらなにが?」
夕方。出かけ先から帰宅した母さんを呼びとめてとりあえず説明を求めた。
玄関先だからなんだ。言えるうちに言っておかないとこの人に話の主導権を握られてしまう。
「だ・か・ら!なんで俺は大々的にヒーローに祭り上げられてんだよッ」
「あらぁー。だってひでくんはヒーローでしょう?」
「俺は承諾してないッ」
そう言ってバンッと壁をたたくが、相手は至ってのんびりといつもの調子を崩すこと無く話す。
「承諾もなにも、この前の件でヒーロースーツ着たでしょう?あれが承諾の意である事以外どう説明するの」
「そ、それは……あのときは恵登が人質だったからしかたなくやっただけで、俺はヒーローにならないッ」
「ずいぶんと甘ったれだな」
俺の一大決心を、誰かの冷たい声がそう返した。
「え?」
「あら。いっけないわぁ。ごめんね、光輝くん。ずーっとほったらかしだったわよねぇ」
「あ、いえ、大丈夫です」
そう母さんと話す人物の顔を見るの三回目だった。
一回目は学校の校門で。
二回目は一方的に紙面上で。
そして今が三回目。
「ひでくん。紹介するわね」
滝沢光輝くん。
「あなたのライバルに決まったから」
母さんの機嫌のいい声だけがその場に聞こえた。
作品名:I hate a HERO!! 作家名:727