I hate a HERO!!
「はい」
「おい」と呼ばれて思わずそう言ってしまったのは俺である。
声の主を見れば、ここから近くは無い男子校の制服に身を包んだ青年。
ボタンも留めていないシャツの下からはグレイのTシャツが見えており、耳には見ていて思わず痛いと感じてしまうほどの量のピアス。
首や手にもシルバーアクセをつけていて、なんというか「不良です」と言わんばかりの風体だ。
「えっと……」
とりあえずアイラブ平穏な俺は、そんな不良スタイルな彼と面識を持った覚えは無い。
一体何者か、はてどう聞いたものかと考えてまだ思いつかないまま何か離さなければとそう声をかけた瞬間。
「お前じゃねぇよ!」
「はいすいませんでしたぁ!!」」
チキンで何が悪い。
「あははー。ちゃんと指定して呼ばなかった勘違いされて当然バカがひどい事を言うよね」
いや、恵登さん。どっちかっていうと今の貴方の発言のがひどいです。
笑顔でそう言った恵登に、不良くんも顔色をサァ―ッと青くしていった。
気持ちはわかる。
恐らく原因であろう俺が言うのもなんだが、今の恵登はとてつもなく黒い。
「で?結局は誰に用があんの?英雄じゃないんだろ?じゃあ俺達は行くから。勝手にお前はお前の用事すましたら」
そういって俺の手をとって恵登はその場を立ち去ろうと……した。
「おれはお前に用があるんだよッ」
それができなかったのは、不良くんが立ち去ろうとする恵登の左手―俺の手を掴んでいない方―を掴んだからだった。
「橘 恵登!!」
不良君が恵登の名を呼ぶ。
「新生ヒーローの事を教えろ!!」
いま盛大に俺への面倒事のフラグが立った気がした。
作品名:I hate a HERO!! 作家名:727