I hate a HERO!!
「あの日から朝から晩までヒーローヒーローヒーローヒーローヒーローヒーローヒーローってやってられるか!!」
「ひひひ。そりゃぁ、大変だったな」
登校中。そう言ってげっそりと朝のやり取りを話す俺の隣で、恵登は相変わらずの笑みを浮かべた。
「事あるごとにまたヒーローをやれって煩くて仕方ないんだよ。ほんとにしつこくてしつこくて」
「しょうがないよ。久美子さんはずっと英雄にヒーローになってほしかったわけだし、久美子さんにしてみればやっと夢が叶ったようなもんなんだって」
「俺はヒーローになる気は無い!この前ので一回ぽっきり。続けるなんて絶対ごめんだ」
ため息をつきながら思い返す。
あの日。内輪事情に巻き込んでしまった親友の恵登を助けるために俺、宝田英雄は”ヒーロー”になった。
「でも久美子さんはそんなことで諦める人じゃないだろ?」
「そうなんだよな…もう毎日毎日。しかもそれに父さんと鞠愛が加わるんだ」
「おつかれ」
「唯一、家族で俺の味方は兄貴だけだよ」
「ひひひ。まあ、あまり無理しない程度に頑張れよ」
「……おう」
いくら母さんたちがわめこうと俺の意思は固い。
なにより、兄貴や恵登という頼もしい味方がいるのだ。
だからおれは大丈夫。
そう思った。1時間前の俺に告げよう。
「見たっ昨日のニュースっ」
「新しいヒーローでしょ?あたしリアタイでは見逃したんだよねー」
「あたしも、でも朝のニュースで見たよッ」
「なんかかっこいいかったよねー」
現実は俺に対してそんなに優しくも無かったぞ。
作品名:I hate a HERO!! 作家名:727