I hate a HERO!!
「………英雄?」
珍しく呆然とした声をだす恵登を縛る縄をすぐ解いた。
「大丈夫かっ何もされてないかっっ怪我してないよなっ?」
次々と質問していく俺に苦笑しながら逆に俺を落ち着かせるように肩をポンポンっと叩いた。
「大丈夫だよ。何も危害は加えられてないよ」
「英雄が助けてくれたからね」と言って笑った。
「で、これはどうなってるのかな?」
そう聞いて改めて英雄の格好を見た。
赤が基調で金色の肩あてと首元のクラウンのチャームが映えていて、腕には黒いベルトに黒の手袋。ゴーグル?で目元は隠し、頭には金色のクラウンがつけている。
「うん…まあ、話せば長いんだけど、その話さ」
恵登から視線を復活し始めたスケボーで蹴りつけた雑魚ととび蹴りをした親玉を見据えて言った。
「(あー…怒ってるね……)」
それは喜ぶべきか止めるべきか、とりあえず喜びの方が大きいしあいつらムカつくから放っておこうなんて恵登は思ってた。
「何だぁっお前は!」
「お前が恵登と勘違いしたやつだよ」
その言葉に今目の前にいるのが本来の目的であること理解した。
そしてものすごく怒っているということも。
「そういえばさぁ…お前、手紙でうちの兄貴のこと随分とバカにしてくれたよな?」
確か深闇はヒールとしては安っぽいだのぼろくそに書いてあった記憶がある。
「それに加えて恵登を拉致したよな…?」
静かな声が逆に怖い。
「さて………」
もはや相手は怯えきっていた。
「覚悟は出来てるよな」
そう笑顔で言った時の英雄は彼の母親にその黒いオーラまで全くもって酷似していた。
恵登は静かに思う。
「普段おとなしい人間って、絶対怒らしちゃ駄目なんだな」
恵登の声は三下連中の断末魔に消えた。
作品名:I hate a HERO!! 作家名:727