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グリーンオイルストーリー空の少年たち 2

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よどんだ水が混入すると異臭を吐き出し死滅する。死滅するときは固形物になって、周囲にへばりついてなかなかとれなくなる。
少年は、タンクに近づき、においをかぐ。
それは青々とした草を刈り取ったときに出る青臭い匂い。そのニオイで、品質の良いグリーンオイルだと確認する。
タンクの下のほうに、目をやると、もうひとりの少年がそこにいた。
「ジル、どこにいたんだよ。操縦の練習時間だろう。」
「パラグアスの木にいてた。霧が晴れないのに練習できないじゃないか。」
「霧が晴れる時間はわかっていたんだ。準備していれば、すぐにはじめられるだろう。」
タンク下の少年は、タンクに取り付けられたレバーの前でためいきをついた。
「レイニーは練習しないのに、準備する必要ないじゃないか。」
小声でぼやいた。

通称レイニーことレイン・スタンドフィールドは13歳の栗毛で大きくて青い目をした少年で、通称ジルことジリアン・スタンドフィールドは11歳の金髪でえらの張ったあごに小さなどんぐり目をした少年である。
ジリアンのところからつながるタンクのホースが建物の壁をつたって上に伸びていて、そばにある梯子をレインは上り始めた。ホースは建物なかに埋まっていき梯子の横にドアがあって、レインはなかに入っていったが、ドアをあけたままにした。
ホースの先には、大きな留め金具がついていて、上が塩化ビニールでできたついたてのしたに取り付けられていた。
サイレンの音が鳴り響いた。

つきの形をした岩山に沿うように立てられた建物の天辺には、周囲を見渡せるガラス張りになった展望台のようなものがあった。
なかには、男がいて、無線機片手に、話をしていた。
展望台のようなもののしたには、いくつかの鉄筋が前面に左右そろって突き出している。そこは工場のような場所。
その工場は、スタンドフィールドドックという空挺修理工場兼燃料補給場だ。
その工場に、金魚のような赤い空挺が近づいていた。
展望台にいている男は、金髪で目がきりりと少し釣りあがった男前で、ところどころ緑色が薄汚れた作業着を着ていた。
男は、ロブ・スタンドフィールドという28歳という若さでこのスタンド・フィールド・ドックの長だ。
無線で、赤い空挺と交信をし、値段交渉しているようだ。