小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

「蓮牙」2 源助とドール

INDEX|7ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

 鎌を杖にして源助は伸び上がった。
 彼らが賞金稼ぎをやっているのには訳がある。二人は共通の目的のために組んでいるのだ。ほかの者と組むことなど考えられなかった。
 「でもあいつはしばらく使い物にならねぇだろ」
 蓮牙は源助が逃げれば逃げただけ刃先を進めてきた。
 「おい、人をがらくた扱いすんのもたいがいにしとけよ」
 煙草のフィルターをぎいっと噛み締めて、ドールが頭を擡げた。
 拳銃を蓮牙に向ける。
 軽口を叩いてはいたが、彼の左肩から鎖骨、肋骨の一部は砕けてバラバラになっていた。本当なら、激痛で、身体を動かすことはおろか声を出すのだってきつい状態のはずだ。
 彼としては気絶寸前のぎりぎりの強がりだった。
 「ドールっ、無茶すんなっ」
 源助は鎌の柄で地面を突いて後ろへ飛び退いた。
 最後の力を振り絞ってドールが発砲する。彼は、弾倉に残っていた弾を全部撃ち尽くしてがくんと頭を下ろした。
 蓮牙の姿はまたゆらりと揺らめいて、瞬間移動したかのようにドールの脇に現れた。
 剣を持つ手を振り上げる。
 「やめろっ!」
 源助が悲鳴を上げた。
 「骨が砕けてるってのに身体動かすんじゃねぇよ」
 蓮牙は剣を振り下ろして柄でドールの腹を殴りつけた。
 声も上げられずにドールは失神した。
 噛んだままの煙草を蓮牙が取り上げて指先で弾く。
 「怪我人に無茶させんなよ」
くるりと源助を振り返り、
「ほんとにこいつをがらくたにするつもりか?」
 「うるせぇ。ドールは俺のたった一人の相方だぞ、そんなわけねぇだろ」
 源助は大鎌を振り回して蓮牙に斬りかかった。
 肩口から脇へ振り抜く。
 目には斬っているように見えるのに、手応えは全くない。
 残像を斬っているのだ。蓮牙のスピードに目がついていっていない。
 源助はドールの傍から蓮牙を追い払ってその場にしゃがみ込んだ。
 「ドールっ、しっかりしろって」
 相棒の頬を軽く叩く。反応は全くなかった。
 「おい、人がせっかく寝かしつけてやったのに起こすんじゃねぇよ。余計痛い思いするだけだろーが」
 蓮牙は片刃の剣――刀を鞘に納めて二人に近付いた。
 「来んなっ」
 源助はだだをこねる子供みたいに鎌をぶんぶん振り回した。
 「おいっ、てめえも眠らされたいのかよ」