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「蓮牙」2 源助とドール

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 蓮牙は、でたらめに行ったり来たりしている鎌をひょいとかわして源助の横に立った。抜きはしなかったが、刀の鞘を源助の肩の傷に打ち当てた。
 それだけでも源助は派手な悲鳴を上げたが、蓮牙はさらに柄を押さえて傷口を抉った。
 「いててててててててっ」
 仰向けに押し倒された源助は泣きそうになりながら足をばたつかせた。
 「いい大人が叫くんじゃねぇよ。いいか、俺はちゃんと働いて、稼いで、飯を食いたい。解るか、殺し屋や強盗でいいならとっくにやってる、腹なんか空かしてるもんか」
 蓮牙は肘で刀をぎゅうぎゅう押したまま、噛んで含めるように言った。
 源助は痛みに声もなくして首を縦に振った。
 目に涙が浮かぶ。
 確かにそうだ。彼ほどの腕があれば儲かる仕事はいくらでもある。善い悪いを言わなければすぐに金は手に入るだろう。彼らだって、何日もろくな食事にありつけないのは、犯罪に手を染めていないからなのだ。
 「仕事、手伝ってやろうか?」
 蓮牙は刀にぎゅうっともたれ掛かった。
 源助はぶんぶん頭を振りながらそのまま気を失った。

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