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「蓮牙」2 源助とドール

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 ようやくぴんときたらしい源助は鎌を畳んで肩に担いだ。
 「とりあえず礼だけは言わせてもらっとくぜ。――ありがとよ。だが――ちょいと訊かせてもらおうか。あんた、ここで何やってたよ」
源助は鎌をくるりと回して男に突き付けた。
「この一角は、今夜一杯俺たちが使うことになってたんだがな」
 男の足元に寝転がったままドールがふうっと煙を吐いた。
 「関係者以外立入禁止って訳よ」
 彼ら公認賞金稼ぎは、仕事をやりやすくするために、あらかじめ警察や軍に地域の使用申請を出す。住民がいる場合には避難させ、非居住地域でも立ち入りを制限する。
 その地域へ獲物を追い込めるかどうかは彼らの腕次第だが、そうしておけば被害は最小限に押さえることができるというわけだ。
 「何者だ?同業者なら名前を聞かせてもらおうか」
 突き出した杖の先で三日月型の刃がぴいんと起き上がった。
 ドーム都市には犯罪者が集まりやすく、それを追ってくる賞金稼ぎも多かった。悪質な賞金稼ぎの中には、人の上前をはねようと同業者を狙う者もいるし、そもそも懸賞金は公的機関だけが懸けているものではないので、賞金稼ぎ専門の賞金稼ぎという連中も結構いた。
 源助とドールは、堅実にやってきた公認賞金稼ぎで、賞金稼ぎに懸賞金を懸けることのできるような輩を狙ったりしないので、同業者に狙われる覚えはなかった。
 「俺は蓮牙、人を捜してる」
 蓮牙と名乗る男は、剣を揺らすのをやめて少し考え、
「あと、飯も探してる」
と、笑った。
 そしてほとんど同時に、その顔をまじまじと見直す源助の視界一杯に、同じ薄ら笑いを浮かべた顔がどアップで割り込んできた。
 「なっ!」
 冷たいものが喉元に押し付けられる。
 源助は動けなかった。
 何がどうなったのかさえ分からない。
 蓮牙は自分より背の高い源助を上目遣いに見上げてにいっと笑った。
 「お前ら賞金稼ぎだってな。――そこの壊れちまった相棒の代わりに俺を使わねぇか」
 「なん……だと」
 蓮牙の片刃の剣に突き上げられて、源助は堪らず爪先立った。
 「金がいるんだよ。もう五日もろくな飯食ってねぇ」
 源助は、俺たちだってもう何日もろくな飯食ってねぇよと頭の中で毒づいたが、口には出さなかった。
 「俺はドール以外の奴と組むつもりはない」