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「蓮牙」2 源助とドール

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 一、二、三…、ドールは手に残っていたカートリッジを全部銃に装填し、更にポケットから残りを取り出すとありったけ突っ込んだ。
 一般に出回っているカートリッジ銃だとカートリッジ一個分を一発として撃ち出すのが精一杯だったが、彼の改造銃は十個分くらいならまとめて撃っても大丈夫なように作られていた。
 ドールは手近な建物の壁に背中を預けて銃を構えた。
 首を捻って頭を真っ二つにされるのだけは免れた源助の肩に、二本ほど鈎爪が食い込みかけていた。
 「源っ、退けっ」
 ドールは銃身に左手を添え自分の左肩に銃尾を押し付け引き金に指をかけた。
 怒鳴りつけたものの源助はグローバーの怪力に押し潰されてとても自力では脱出できそうになかった。
 「源っ」
 だめか、と思われたとき、どういう訳だかグローバーが突然攻め手を緩めた。
 源助は鈎爪を弾いて地面に転がった。
 「よっしゃぁ――――くたばりやがれっ、クソ野郎」
 ドールは脚を踏ん張って引き金を引いた。
 強烈な閃光が辺りを真昼のように照らす。
 衝撃波で付近の建物の窓ガラスが割れる。
 爆音が響いてドールの背で壁が崩れ落ちた。
 大砲並の銃の反動に耐えられなかったのだ。
 グローバーの方は火球に包まれた後、半分消し炭となって「外壁」に開いた穴から跡形もなく消し飛んでいた。
 「外壁」の機能は今でも生きているらしくすぐに分厚い隔壁で穴は塞がれた。
 「ドールっ」
 源助は血塗れの腕で鎌を引きずりながら瓦礫の山に近づいた。
 ドームの「外壁」に穴を開けるほどの銃の反動だ。衝撃で、もともと崩れかかっていたとはいえコンクリートの建物がこんな瓦礫になってしまうほどの反動だ。
 彼の相棒はそんなものを身体で受け止められるほど丈夫ではない。
 「ドールっ、返事しろっ」
 源助は肩の痛みも忘れて瓦礫をひっくり返した。
 「…源…」
 足下から声がする。
 「…てめ……相方を踏みつけにしやがっ…て……」
 相棒のか細い声に源助は慌てて跳び上がった。
 足を掛けていた辺りの瓦礫を手当たり次第に跳ね飛ばす。
 「ドールっ」
 源助は埃まみれになったドールの姿が見えると抱きつくようにして瓦礫の下から引っぱり出した。
「大丈夫か」
傷がないか注意しながら土埃を払ってやる。