KNIGHTS~before the story~
どうせみんな
「ナツ、お客さん」
電気の点いていない部屋で音楽を聴きながらぼんやりしていると、幼馴染が入ってきた。
「……誰?」
カイが呼びにくるということは嫌な相手ではないんだろうけれど、誰が来たのかという予想が全くつかなかった。
「一高の野球部の人。二年生全員」
ということは、お兄ちゃん、カジさん、マサさん、ケンゴさん、ヒデさん?
秋の県大後に一気に八人にまで減った野球部の二年生は、このメンバーだけが残ったと聞いている。
にしても、なぜ彼らが?
両親が離婚してからは連絡もとらなくなったのに。
「事故のこと知って、来てくれたんだよ。いま焼香してもらってるから、ナツもリビングまで来い」
嫌だ。
会いたい気分じゃない。
そう言いたかったけれど、私の意見は聞かないとでも言うようにカイは出ていってしまった。
思わず溜息を吐く。
これではもう、逃げようがないじゃないか。
仕方なしに立ち上がり、ドアへと近付いた。
行きたくない。
お兄ちゃんたちのことは好きだけど、嫌いだ。
心配して来てくれたのは分かってる。
ずっと避けてたのに、皆だって会いにくいだろうに、それでも来てくれたのは嬉しい。
でも、お兄ちゃんたちだっていつかは私の前からいなくなるんでしょう?
作品名:KNIGHTS~before the story~ 作家名:SARA