竹草少女
「その“主(ラビ)”とやらに尻でも貸してんのかお前は?まともな奴は普通恥ずかしくって出来ねえぞこんな茶番」
心底馬鹿にしきったような聡雅の顔に、錦の顔が徐々に怒り―――無表情なそれに歪んでいく。
それでも彼は最後まで台詞を言い切る。その足は既に少女から遠のいていた。
「要はそいつが正面きって出てこれねえだけなんだろ?性格の悪い悪戯をする捻くれた餓鬼と、それに心酔する馬鹿な女の組み合わせじゃねえか。一生やってろ。俺は帰る」
刹那―――息が詰まった。帰ろうとした聡雅の足は、既に飲み込まれて動けなくなっていた。
首元を絞めるぬるい感触が全身を支配していた。
後ろを振り向こうとして―――それすら敵わない。
「訂正しなさい…今すぐ」
なんだこれは、という台詞が彼の喉まで出掛かって、結局音にならなかった。
締められた胸骨がそれを許さない。
圧迫死―――その単語が脳内を縦横無尽に駆け巡る。
いつの間にか少女の指先が聡雅の喉仏を撫でていた。