竹草少女
「だいたいお前らの人間に対する印象ってのはどいつもこいつも大雑把で適当だよな。“やさしそう”だの“かわいい”だの、まともに人様の事を見たことあるのかと。問いたい、小一時間問い詰めたい」
「それは、分かるかも…」
「だろ?結局お前らは自分の見たいようにしか世界を見てないし、それがすべてでそんなもんだって思ってやがる。あーむかつくわ、人を何だと思ってやがる」
言いたい事を言い終えたかと思うと、また本に目を落とす。
(で、結局どうなの?)
とは彼女は聞けなかった。でもどうやら、こっちが彼の素である事は間違いないようだ。
それに、なんだか彼女は彼の言ってることが正しいような気がしていたのだ。
(あたしもそうかなぁ…どっちかって言うと周りが勝手に私のこといろいろ思ってて、それにあわせてる感じ)
的確にそれを表現してもらって、むしろすっきりした気すらしていた。
「そっかぁ…そうなのよねえ」
流生と聡雅の関係は、いつもこんな―――あやふやでいい加減だが、どこか爽やかなものだった。