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ほのむら伊流
ほのむら伊流
novelistID. 498
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竹草少女

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「今度俺が“二人乗り”のときのオート・サイクルの運転の仕方ってもんをきっちり教えてやる…」
「あんたも持ってんだ?なんで乗ってこないの」
 寮の前で降りると、聡雅は青い顔をしてふらふらと降りた。
「正確には“持ってた”だな。今はもう売っちまった」
「ふうん」
 曖昧に頷いてみせる彼女に手を振り、聡雅は寮の入り口へと進む。
「ねえ」
 ふっと沸き起こった感情に、彼女は少し戸惑って、それでもそれを素直に彼に伝えた。
「一緒にさ、育ててみない?」
「おう」
 あまりにも短い。あまりにも素早い。あまりにも呆気ない。
「うん」
 それでもどこかそれを聞いて、彼女は安堵していた。
 だからその二文字だけを聞いて、彼女はすぐにその場を立ち去る事ができた。
 それで、その後に彼が呟いた言葉を完全に聞き逃した。
「ぇ、何を?」
 立ち尽くす少年の前で、白煙が虚しく揺れた。

作品名:竹草少女 作家名:ほのむら伊流