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ほのむら伊流
ほのむら伊流
novelistID. 498
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竹草少女

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 特に部活などをしているわけでもなく―――恐らくアルバイトをしているのだろうが―――協調性があるのかと問われればとてもそうは見えない。しかし教師に対して反抗的であるという事もなく(むしろ彼は成績が良く、たいていは上位五位の内に名を連ねているのだ)大人しく講義を聴いている姿しか彼女は見たことがない。とはいえその姿も決して教師に従順であるというよりは、どこか何もかも斜に構えているような―――どう足掻いたって自分はここにいるしかない、と諦めているかのような―――そんな印象を彼女は受けた。
 以前にこんな話を聞いた事があったのを思い出す。
「一言で言って、“怖い”のよね。何を考えてるのかよく分からないから、彼の前で迂闊な事を言っちゃいけない感じ。もし言ったら彼は『ふん』と鼻を鳴らしてこっちを見下してきそうな気がするのよ。それもむかつく感じじゃなくって、ズバリ言い当てられて胸が痛い感じっていうか…とにかく彼の前では油断も隙も見せられない気がする」
「ふうん」
 副委員長の話をそのときは「そんなものかな」という感じで聞いていた彼女だったが、なんとなしに彼の方を見ると、確かに彼は「油断も隙もない」ような気がするのだった。それも神経を張り詰めているとか、緊張しているというよりはむしろ…―――
(観察している…?)
 緊張しているときというのは、むしろ意識は内側にあって防御している状態であり、そういうときというのは何処から攻撃がくるか分からないという意識から、どんなに努力していても隙が出来てしまう。しかし彼の場合は“こっちを観察”しているわけだから、防御的というよりは攻撃的であり、ともすればこちらに対して真正面から見据えてくるような、そんな気圧を相手に与えるのかもしれない。怯えて身体を縮みこませているよりは、真っ直ぐこちらを見つめられている方が威圧的に感じる。しかも向こうはただ見つめているだけなので、こちらはどうしたらいいのか反応に困る。向かってきていたり、実際に何らかのアクションを起こしているならば対応こそ可能というものだが、ただこちらをじっと見つめて何かの反応を待っているような姿でいられると、どうしても次の行動に支障が出るのだ。
作品名:竹草少女 作家名:ほのむら伊流