ゼロ
音楽の道
)鳥が叫んでいた、音楽の道。(僕はその先に小屋があって、小屋はビルの一階になっていることを知っている。沙漠の拡大は羞恥心により妨げられている。ビルの屋上から沙漠は始まった。音楽が細く放射していく、僕の眼球。小屋の中、椅子の上にはもう一つの椅子があり、鳥の叫び声を保存している。モンシロ鳥。僕は道の脇の木々に、幹の曲がり具合について尋ねる。幹がどれだけ社会へと曲がっているか。鳥の色を記憶しようと力んでみたら、鳥の記憶が色になって細く放射していく、僕の眼球。ビルは9階建てだ。僕は自分に体があることを感じながら、沙漠の砂の中から完全な立方体を探し出す。小屋の板戸は木目を重ねてできている。)木々の葉は黒い、音楽の道。(あなたは今、誰を指差しているのですか。それともあなたの指は時計の秒針でしかないのでしょうか。あなたの捨てた音楽が乾かないうちに、僕はそれを拾い上げてもう一度捨てるでしょう。乾かないように濡れた脱脂綿でくるみながら。あの日、ビルの3階であなたとすれちがいましたね。砂の植物が生い茂る3階で。あなたの手の名前をもう一度教えてください。あなたの髪の光沢が細く放射していく、僕の眼球。)あなたの会議での発言は沙漠の熱団子を敵に回しました、音楽の道。(一本だけ特に重い木の枝があり、軽くなるためにわずかに燃えている。小屋の中の汚れたテーブルの上にはその小屋が載っていて、空気の中に僕の眼球をたたみ込んでいる。僕が後ろを振返るごとに鳥はわずかに死んでいく。沙漠が砂粒を器用に並べているので、あなたは知らないうちに砂の呼吸をするようになる。鳥の影が細く放射していく、僕の眼球。木々は沙漠に折り目をつけて、僕は木々に先端を付与する。小屋までの距離の重さを足の裏に感じながら、小屋の中に懸けられた猟銃の冷たさを沙漠の周縁へと拡散させる。)別れの言葉は即死する、音楽の道。(あなたはかつて自分の夢に分布する微小な穴について語ってくれましたね。僕は今思うのです、夢全体が穴なのだと。ビルの6階のあなたの居室には今でもバスタブが住んでいるのでしょうか。僕は記憶の中のあなたの呼吸のリズムに合わせて心臓を動かしています。あなたは鳥の飛翔の形をしたまま、木々の国家論を映してくれましたね。僕は一足ごとに、あなたの誕生が迫っているのを確信します。)夜にはあなたの幾多の表情が降ります、音楽の道。(