マ界少年ユーリ!
マナフレアがジャドの周りに発生する。
「今ここに暗黒の守護者イーマの力を解放する――宿え暗黒蛇炎!」
暗黒の炎が蛇のようにジャドの腕に巻きついた。
さらにジャドは残る腕をローブに突っ込み横笛を取り出した。
これはまさか……蛇+笛=蛇遣いだ!
笛がメロディーを奏ではじめると、蛇炎は激しく燃え上がりながらヴァッファートを呑み込もうとした。
ヴァッファートの口が大きく開けられ、猛烈な吹雪が吐き出される。
すべてを焼き尽くす劫火とすべてを凍らせる吹雪が激突した。
せめぎ合う二つの力。急激な気圧変化が起き、竜巻が巻き上げた雪は瞬時に蒸発して空気爆発が起きた。
さらに強い風がすべてを薙ぎ払う。
轟々と鼓膜を揺らす風の叫び。
晴れ渡る世界の下でジャドとヴァッファートは無言で対峙した。
今の攻撃は五分と五分。しかし、まだ戦いははじまったばかりだった。
さらなる大技を繰り出そうとジャドは笛を構え――。
「笛がない」
さっきの爆風で横笛をなくしてしまったのだ。
「しかし、常に冷戦沈着、奥の手は持てるだけ持つのがプロ!」
ジャドは縦笛を取り出した。
が、ヴァッファートがフ〜ッと息を吐くと、縦笛が飛んでいってしまった。
「クソッ、なかなかやるな。だが俺は暗殺一家の末っ子、勝つための手段ならば卑怯なくらい持っている!」
ジャドはハーモニカを装備した。スタンド付きなので、身体と固定して手放しできる優れもの、通販の商品だ!
まるでハエでも叩くようにヴァッファートはジャドを払った。
パシッ!
「あれ〜〜〜っ」
ジャドは雪山を転落して行った。
ご愁傷様です♪
その光景をコタツの中にもぐって見守っていたユーリ。
「はじめて魔法を使ったところ見たと思ったら、あっさりやられちゃった」
ジャドは戦闘力ではなく性格に欠陥があったようだ。
まだまだご乱心のヴァッファート。
果たしてこのオカマドラゴンを鎮めることはできのか!
そして、ついにローゼンクロイツがコタツから覚醒した。
「仕方ないね、ボクがやるよ」
目を疑うほどのマナフレアがローゼンクロイツの体を包み込む。
変化が起ころうとしていた。
ローゼンクロイツのエメラルドグリーンの瞳に六芒星が映る。
ユーリは自分の目を疑った。
「まさか……その姿は!」
いったいローゼンクロイツになにが起こったのかっ!
作品名:マ界少年ユーリ! 作家名:秋月あきら(秋月瑛)