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しらじら

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建物の外は、この季節らしい冷たさがありましたが、僕にはまだ奮起した熱が身を包んでいました。
街は、クリスマスイブで賑やかなのでしょうが、僕が社屋から駅に向かう道は ひっそりとした夜の景色でした。いつもと変わらない帰り道の空気に安らぎを感じていました。

ふと、目の前に見えたものを確かめるように僕は空を見上げました。
「あれ? 違うよなぁ」
空から舞う白いものが 風に乗って……
「雪? あそこだけ? いや雪じゃなさそうだ…」

僕の進む方向に視線を戻すとまだ遠い先の道の角に人影。
女性?

女性と思ったのは その人がスカートをはいていたからでした。
暗い所為でなく、その人――あ、彼女としましょう―― 彼女の服装は 全身黒っぽい。
こんな日ならば、やや明るい色の服か、アクセサリーの煌めきぐらいありそうなものです。
それに 遠目から見たその姿は、年頃の女の子の雰囲気がありました。
やや下からの向かい風に リボンのついたツバの広い黒い帽子を飛ばされないように両手で押さえているように見えました。
ところどころ白っぽくみえるのは 手袋の端から覗くわずかな手首と帽子に隠れていない顔の下半分と細い首のようでした。

僕は、視線を外せないまま近づいていくにつれて 舞っていた白いものは僕の視野から消えていきました。
声を発するように吸いこんだ息を 僕は声に変えずにゆっくりと吐き出しました。
こんな夜にひとりでいる女の子に声掛けては、危ない奴だと思われかねない。なるべく距離をおいて通り過ぎるのが無難に済むだろうと 足取りを普通に、普通にと整えて通り過ぎようとした時です。

作品名:しらじら 作家名:甜茶