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心境の変化

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その4


彼女は嫌いなものはないので里山へ行ったらなんでも沢山買ってきてねといつも言う。
昼前に電話を掛けたらデイサービスに行くから五時頃帰ると言っていた。
もしもお目当ての品が無かったらいけないので里山へ買いに行くことは言わなかった。昼に帰宅してから五時前に買ったものを届けに行くつもりでいた。

四時半に家を出て五時前に彼女の家の前に車を停めて待っていた。
何台もの車が通り過ぎて五時すぎて施設の車が私の車の後ろに止った。
若い女性の介護士が運転席から後部座席に回ってドアを開けた。
私も「お帰り」と言って手を引いて玄関へ一緒に歩いた。
彼女は見えない目で勝手がわかっているのか、玄関前の段差の所で「気をつけて」と私に注意した。

五時を過ぎていたので家の中は薄暗かった。
私は道の駅で買ったものを一つずつ手に持たせて確認した。
お赤飯、苺、アンパンをひとつずつ確認してもらって彼女から1800円を受け取った。

道路に車を停めているので部屋には上がらず玄関の上がり段で荷物を渡すとき、暗くなったから電気つけて、と言うと、そうよね、暗いとみえないのよね、私は暗くてもいいけどと言って電気のスィッチを手探りでパチンと押した。

私は「又ね」と握手して家路へと急いだ。
彼女が暗い家の中で今夜も一人で過ごすことを考えながら運転していた。
懸命にいのちを守って生きている彼女には、頑張って!と心の中で応援していた。


作品名:心境の変化 作家名:笹峰霧子