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太宰治令和にやってくる

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太宰「演出?こんな演出の“てにをは”もなってないものが演出?いずれにしてもくだらない。くだらないのは我慢しよう。この女中たちと今夜寝れるのか?」
かんちゃん「寝れる?」
太宰「つまり、男と女の関係」
メイド「イチゴ駄目です。イチゴの身体触ったらイチゴ溶けてなくなっちゃうんです。てへっ」
太宰「やはりこの女僕を馬鹿にしている」
   太宰立ち去る。
かんちゃん「太宰さん。太宰さん。待って。電車の乗り方も分からないんでしょ?どうするつもり?」
太宰「どうするって言われても」
パオちゃん「帰り方分かんないんでしょ?どうするの」
太宰「そうだ。死ねばいいんだ」
にんちゃん「だから何でそうなるの。簡単に死ぬとか言わない。もうお会計」
パオちゃん「ちょっとしかいれなかった。もったいない」

  〇真央家への帰り道。川辺から、橋を渡る電車を見る。
(M)拝啓 太宰治様
 あなたがこの時代に来てからもう大変な毎日。毎日必死。毎日が戦争。でも、あなたは少しづつ良くなっている。あなたは本当はもっと素敵な人。そんな予感が私にします。
〇真央の自宅深夜
   真央の携帯から着信
真央「ああ、もしもしミドリ。久しぶり。えーどうしてる?どうした急に電話なんか」
ミドリ「ニューヨークに行ったあの卒業旅行思い出しちゃって。あんときのお土産見てたら。そしたら、ただ何となく真央の声が聴きたくてね。どう仕事大変?」
真央「仕事も大変。でもそれ以外のことで大変かな」
ミドリ「仕事以外のこと?」
真央「まあ、いろいろあるのよ。ミドリは?」
ミドリ「私も精神保健福祉士やめて、一般企業の広告代理店務めたでしょ?メッチャ大変」
真央「やっぱどこも大変だよね」
ミドリ「私最初精神保健福祉士の仕事やってて、こんなかまってちゃん相手の仕事だけだと思わなかった。就職するなりあなた達は治療はしません。寄り添うだけですなんて。私もっとPSWはカウンセラーみたいなのイメージしてて。それやってる人本当少なくて」
真央「最初みんな絶望から始まるよね。何これが仕事かって」
ミドリ「ほとんど水商売よ。やめてよかった。広告代理店も大変だけど」
真央「そうよね」
ミドリ「真央もまだギリ20代なんだし、かまってちゃんの仕事なんかより、一般企業に就職したら」
真央「そうねえ」
ミドリ「そんなとこにいたって成長ないよ」
真央「それは違うと思う」
ミドリ「違うって。何が違うの。よくなった患者はどんどん巣立って、せっかくいいカウンセリングができるときに卒業し、デイケアに来なくなっちゃう。本当にやりたいんなら精神科医にでもならなきゃ。ただ状態の悪い人ばっかの人相手の仕事なんてやる価値ないよ」
真央「そんなことない。私たちの仕事は……何て言うか、いやでも、みんなおかしいけど、たまに癒されるし、楽しいし、正直言って世の中の無駄な世界って感じだけど、なんていうか、それでも私はこうやって働いている。たまに気が狂いそうになる。馬鹿みたいって思うこともある。でも私馬鹿な生き方でいい。私馬鹿でもいい」
ミドリ「……」
真央「やだ、私なんか熱くなっちゃって」
ミドリ「ごめん。せっかく精神保健福祉士頑張ってる真央に他誘うの反則だよね」
真央「そう頑張ってるんだから」
ミドリ「無理しないでね。あっ、そういえば彼氏とはうまくいってる?」
真央「おあいにく様。ほぼ絶縁中です。全然会ってない」
ミドリ「そっかあ、他の男とかいないの?」
真央「男?まあ、男とは出会ったけど」
ミドリ「えっ新しい男いるの?何?聞かせて?」
真央「別にそう言うんじゃないよ」
ミドリ「友達以上恋人未満ってやつ?」
真央「そうかなあ」
ミドリ「週何回くらい会ってるの?」
真央「毎日よ。家にいるもん」
ミドリ「えっ同棲してるってこと?」
真央「うん。まあ、同棲かな」
ミドリ「何それ。ガッツリ付き合ってるじゃん」
真央「そうじゃないって。あっ、でもその人東大生っていうか、作家って言うか」
ミドリ「東大生で作家?すっごいじゃん。同棲してるんでしょ?ねっどこで知り合ったの?」
真央「えっ、川から流れてきたっていうか」
ミドリ「はっ、東大生の作家が川から流れてきた?真央大丈夫?」
真央「(太宰を見て)あっ太宰さん。起きた?」
ミドリ「えっ?何?ダザイさん?」
真央「あっ何でもない。また今度電話して。今立て込んでるから」
ミドリ「もしもし、真央病んでるの?もしもし。もしもし」

真央電話を切る。

太宰「どうした?彼氏から電話か?」
真央「ううん。大学の時の友達から」
太宰「そう」
真央「ごめん。起きちゃった。まだ真夜中だもんね」
太宰「電話の声で起こされるのもまた良きかな」
真央「何それ」
太宰「何ってことはないさ」
真央「じゃあ、私も化粧落として寝る。おやすみ」
太宰「おやすみ」

〇デイケアコスプレパーティー 真央、他職員、かんちゃん、にんちゃん、パオちゃん。その他患者のメンバー。
パオちゃん「番長セーラー服の女子高生のコスプレすごくいい。アラサー女が頑張ってる」
真央「頑張ってるとか言うな」
にんちゃん「俺の忍者はみんなに分かるとして。かんちゃん何それ」
かんちゃん「マイケルムーア。パオちゃん制服じゃん」
パオちゃん「かんちゃん、これは涼宮ハルヒの憂鬱のライブを観ている観客」
にんちゃん「じゃあ、みんな普段のキャラと一緒じゃん」
パオちゃん「太宰さんは着物のままで十分」
かんちゃん「今日一目立っている男」
太宰「おかしなパーティーだな。滑稽だ」
かんちゃん「溝永さん。せっかくだから今日くらい太宰さんと夕飯食べたい」
真央「かんちゃん、そんなこと言ったって」
にんちゃん「施設長なんだからいいじゃん」
真央「じゃあ、今日は特別ってことで」

〇真央の家 真央とかんちゃん、にんちゃんパオちゃんがいる。太宰は椅子に座っている。

真央「今鍋作っているから日本酒飲んで待ってて」
かんちゃん「溝永さんの家に来ちゃった―ヤバイ。念願の職員の家。しかもみんなコスプレだし、溝永さんのセーラー服姿最高」
真央「本当は職員とメンバー同士のプライベートの付き合いは禁止なんだからね」
にんちゃん「施設長なんだから、権力持ってるじゃん。自由でしょ」
真央「施設長だからこそ、こういうことはいけないの。かんちゃん、にんちゃん、パオちゃん、他のメンバーには内緒よ。さあ出来た。太宰さんもこっち来て」
パオちゃん「わあ、鍋だ」
かんちゃん「何これ」
真央「白菜とえのきと豆腐と肉」
にんちゃん「これ肉?」
真央「うん。魚肉ソーセージ」
パオちゃん「溝永さん、魚肉ソーセージって」
真央「文句言わない。家まで連れてきてあげたんだから。太宰さんのためよ。あなた達だけだったら絶対家に入れない」
かんちゃん「これだもんねえ。番長すぐ本当のこと言う」
にんちゃん「本当のこと言う人って残酷ですね」
パオちゃん「右に同じ」
真央「さあ、冷めちゃうから食べましょう。太宰さんも」
太宰「ああ」
かんちゃん「コンロもないんだ。徐々に冷めていく」
真央「あんまり長居しないでね。食べたらさっさと帰って」
三人「はーい、頂きます」
かんちゃん「うん。この魚肉ソーセージ思ったよりうまい」