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太宰治令和にやってくる

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太宰「君はとても活動を取ってるなんて信じられない」
かんちゃん「じゃあ、これ観てよ」
太宰「それはかまぼこの板みたいな電話」
かんちゃん「携帯電話っていうの」
太宰携帯の動画を観る。
太宰「うーん。いずれにしても、こんなの活動とは言えない。活動を馬鹿にしてはいけない」
にんちゃん「そら、作家に言われてやんの」
太宰「にんちゃんとやら。君も忍者にとても見えない。君は作法というものを知らないのかね。忍者たるもの所作を知らないといけない。僕の妻も芸者をしていた。ある程度の立ち振る舞いができないならみんな嘘に見える」
パオちゃん「言われてやんの」
太宰「君はパイオニアとか、訳の分からん職業だそうだが、パイオニアって開拓者のことか?」
にんちゃん「あっ、こいつただのアイドルオタクで」
太宰「アイドルって美少女のことか?」
ぱおちゃん「アイドルパイオニアのパオちゃん。僕は政治、経済、文学、詩歌、そんなものより、一人のアイドルの開拓が何よりも価値がある。これが僕の信念だ」
太宰「……」
かんちゃん「ほら何か言われるぞ」
太宰「面白い。僕も政治、経済、文学、詩歌、そんなものより一人の美少女の微小の方が尊いと思う」
かんちゃん「ありゃ、気が合っちゃった」
真央「何、このピアカウンセリング。こんな滅茶苦茶初めてなんですけど。でも太宰さんが心を開いてくれるなら」
パオちゃん「それとアイドルと同じようだけどメイドも開拓してるんだよね」
太宰「メイド?メイドって何だ?」
パオちゃん「ほら、家に仕えるお手伝いさんで萌え萌えっとした」
太宰「メイドって女中のことか?」
パオちゃん「まあ、昔の言葉で言うと女中になるかな」
太宰「僕は女中に育てられた」
パオちゃん「そのメイドが最初フォロワー数50人くらいだったんだけど、僕の力でフォロワー数一万人以上に。あっフォロワー数って人気度みたいにとらえてくれればいいや」
太宰「女中の人気が一万人?」
パオちゃん「そう。メイドさんがコホンコホンって風邪を引いちゃってマスクしてSNSに載せたらそれがバズって」
太宰「女中の人気が一万人なんて信じられん。やはり君たち僕を馬鹿にしてんだろう」
パオちゃん「え、してないよ。今度メイドさんとチェキ撮らせてあげる。ああ、つまりメイドさんと写真一緒に撮らせてあげる」
太宰「女中と写真なんか撮っても。不愉快だ。僕はずいぶん恥をかかされた。もうこんな茶番の会なんかでるものか」
真央「太宰さん待って」

〇理事長の久末と真央がいる。

久末「太宰君。なかなか良くならないのか。よくならなきゃビジネスにならんのだよ」
真央「久末さん。待つことです」
久末「待つと言っても」
真央「それと彼に必要なものは新薬や作業療法だけじゃあ、ありません」
久末「何だ?」
真央「愛情です。彼は愛情を知らない」
久末「とにかく任せる。いい方向に向かってくれれば、それでいい。まあ、みんな物珍しさで、デイケアの出席数あがってるし。いいことだ」

〇真央の家。太宰リビングにいる。

真央「帰ったわよ。太宰さん。ご飯作るね。パスタでいい?パスタってつまりスパゲティのこと」
太宰「ああ、スパゲティか」
真央「待ってて今作るから」
太宰「君彼氏は?」
真央「全然疎遠よ」
太宰「全然疎遠?君日本語をしっかり勉強した方が……こっちの言葉か」
真央「太宰さん東京帝国大学って言うと、東大にいたのよね。頭いいんでしょ?病気治ったらあなたならいい就職先いっぱいあると思う」
太宰「君僕が怖くないのかい?」
真央「全然。この仕事しているけど、あなたみたいな人珍しくないと思うな。みんな普通に巣立っていく。よくなったら卒業。それが生きがい。いい人は巣立っていつも相手にするのは変人奇人ばっか。それが仕事よ」
太宰「仕事か」

  〇真央がキッチンのテーブルにパスタを運ぶ。
真央「はい。出来たわよ。スパゲティペペロンチーノっていうの」
   太宰ペペロンチーノを食べる。
太宰「美味い。このパスタっていうやつ」
真央「でしょ?」
太宰「真央、君は妖艶だ」
真央「ようえん?」
太宰「どんな名誉や権力、芸術、はたまた僕の周りの偉そうな先輩より、一人のエプロン姿の真央の方がはるかに清く尊い」
真央「さすが作家。そうやっていろんな女性を手玉に取ってきたんでしょ。このエロ男爵」
太宰「……」
真央「あなた、母親ともあまり話したことないのよね」
太宰「女中としか」
 
   真央太宰にハグをする。

真央「私でよかったら、私を母親と思って」
太宰「……」
真央「なんてね。ジョークよ。ジョーク。この時代にはよくあるジョークなのよ」
太宰「ありがとう。冗談でも嬉しかった」
真央「うん」
   真央の携帯が鳴る。
真央「はいもしもし」

〇次の日の朝 真央があわただしく支度をしている。太宰が床に敷いてある布団から起きる。

太宰「真央どうした」
真央「昨日電話がかかって来てね。甥っ子が誘拐されたの。テレビでもやってる」

〇テレビ
テレビの声「先ほどのニュースです。昨日行方不明になっていた小学五年生の水谷リク君が大井ふ頭の倉庫内に監禁されていることが分かりました。犯人と思われる者から警察へのメッセージによると『水谷リク君を倉庫内から出すと、人体感知センサーが反応し、命は助からない』などと述べ、なお当局では、人体感知センサーというものがどこに、またどのように設置されているかなどを捜索していますが、依然爆発物の特定はできないまま、捜査は難航し、引き続き捜査を続けている模様です」
太宰「君の甥っ子が?探知機?このテレビのニュースは何を言っているのかさっぱり分からない。どういうことだ?」
真央「ごめん。太宰さんには関係ないわ。忘れて。体調はどう?」
太宰「それがすこぶるいいんだ。不思議だ。この時代の薬を飲んで数日経っただけで」
真央「よかった。薬が効いているのね。じゃあ、あとは作業療法ね。今日もクリニックのデイケアに参加する。いいね」

クリニックのデイケア共有スペースかんちゃん、にんちゃん、パオちゃんがいる。
三人太宰に近づく。
パオちゃん「太宰さん今日アキバに行こう。太宰さんお酒飲めるよね。メイドさんとお話しできるよ」
真央「勝手に太宰さんを誘わないで」
パオちゃん「いいじゃん。今日だけ特別」
真央「じゃあ、すぐ行ってすぐ帰ってくるのよ」

秋葉原のメイドカフェ パオちゃん、かんちゃん、にんちゃん太宰がいる。
パオちゃん「ここがメイドカフェ。メイドさんとお話しできる」
太宰「君?メイドなんだって?」
メイド「うん。イチゴって言います」
太宰「イチゴちゃんか。つまり君は女中をやっているのか?普段からこんな魔法使いの演出のような部屋に住んでいるのか?」
メイド「普段は普通の大学生です」
太宰「大学生?大学どこ?」
メイド「慶応です」
太宰「慶応?慶応の大学生?慶応の大学生が何で女中なんかを」
メイド「何でって、イチゴ、ポンコツだから。てへっ」
太宰「パオちゃんとやら。やはりこの人僕を馬鹿にしてるようにしか見えん」
パオちゃん「いや。そうじゃなくて太宰さんこういう演出で」