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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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 山ちゃんが来た。
 大きなリュックを背負い、カメラは持っていない。
 それを見て辰雄は言った

「YouTubeはやらないのか」
「もう、いいです」

 二人は川原に座った。

「達夫さん……」
「なんだ深妙な声 出しやがって」

 山ちゃんは、黙って川を見ていた。

「掘り方、教えてください」
「もう教えることはない」
「でも……」

 黙っていた達夫は、やがて川の流れを指した。

「見ろ。
 金は、速い流れには残らん」



 翌朝。
 達夫は、山ちゃんを連れて、川上に行った。

「ここだ」

 山ちゃんが掘る。
 達夫は、見ているだけ。

 パンニング皿の底に、微かな光。

「……出た」

「少しだな」
「でも、本物です」

 達夫は、頷いた。

「それでいい」


 川風が止まり夕闇が迫ると二人は達夫の家に戻った。

 達夫は、小さな木箱を取り出した。

「何ですか」
「俺の全部だ」

 中には、これまで拾った、
 売らなかった微細な金。

「……もらえません」
「もらえ」
「……」

「金はな、
 持って死ぬと重い」

 山ちゃんは、達夫からの金を形見のように受け取った。



 数日後。
 達夫は、川原で、何かを埋めた。

 つるはし スコップ今まで長年使用してきた道具だった。

「お前も、よく夢を見た」

 達夫は、立ち上がれず、その場に座り込んだ。

 夕日が、川を金色に染める。

「……十分だ」

 背中を丸めて、寂しさが漂う達夫は夢を諦めた老人のように見えた。


3 その後

 山ちゃんは、今も掘っている。
 だが、もう配信はしない。

 達夫の道具は、土の中で眠っている。
 そして達夫は病院のベッドで癌と戦っていた。

 掘られなかった場所は、
 友人の未来のために残された。

 金は、土にある。
 だが――

 生き方は、人に残る。

作品名:GOLD 作家名:海野ごはん