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4 金の買取屋
翌日、三人は街の金買取屋に入った。
少しばかりだが金塊の他に砂金を掘り当てていたからだ。
壁には「高価買取」「即現金」の文字。
「昨日の金を売りたい」
信二が言う。
店主は顕微鏡で金を覗き、首を振った。
「これは買えない」
「なぜです」
「違法採掘区域の金だ」
「……え?」
「座標、動画で上がってる」
二人は同時に山ちゃんを見る。
「え、ライブ配信……」
「……」
「……すみません!」
店主はため息をついた。
「警察に行かれる前に、これを持って帰りなさい」
差し出されたのは、昨夜奪われたはずの袋だった。
「強盗、うちの常連だ」
「え」
「違法金を奪って、うちに持ち込む。だが今回は……」
店主は少し笑った。
「金が本物じゃなかった」
「……」
「ほとんど黄鉄鉱だ」
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5 どんでん返し
帰国前夜。
三人は丘に座り、沈む夕日を見ていた。
「結局、一攫千金は無しか」
信二が言う。
山ちゃんは何も言わず、ポケットから携帯を出した。
山ちゃんの動画再生数が爆発していた。広告収益が見込まれる数字だった。
「……これ」
「え」
「今度の動画で、俺たち、黒字かも知れないっす」
信二は笑い、すぐ顔を伏せた。
山ちゃんは携帯を持つ手が震えていた。
しかし金塊を掘り当てられなかった事に3人は少し沈んでいた。
「達夫さん、もう掘らないんですか」
「掘るさ」
「どこを」
「また楽しい人生を」
⸻
日本に戻って数か月後。
川原で、達夫は一人、つるはしを振っていた。
信二は会社勤めを始め、山ちゃんは登録者十万人を超えた。
達夫は小さな金色の欠片を拾い上げる。
本物かどうかは、もうどうでもよかった。
空を見上げる。
あの赤い大地と、夕日を思い出す。
「……楽しかったな」
誰もいない川原で、達夫はつぶやいた。
夕陽で河原は黄金色に染まっていた。
「俺の人生、いつもゴールドだな」
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