悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(北部九州)
ちなみに、父のマイカーの歴史は、マツダのクーペで始まり、スズキのフロンテ、次もフロンテだったがスタイリッシュになったものだった。そしてカローラ、最後はマークⅡで、90歳の頃に免許を返納した。母はマークⅡの乗り心地が最高だと言っていた。
次は、大学生になってからで、中学校の友人とふたりで、2台のバイクでツーリングしたのが、この道だった。
高校を卒業してから大学に入る間の約1ヶ月間は何もなく、今でこそ、卒業旅行などがあるようだが、当時は何もすることがなかった。友達と会うくらいだった。そこで、バイクの中型免許を取得しようと思い、彼がヤマハRD250を貸してくれて、自宅近くの空き地で、実技の練習をした。その甲斐もあり、自動車学校には行かず、試験場で受験し、見事に免許を取得することができた。
その彼が熊本の下宿まで来てくれて、熊本県の天草方面や阿蘇方面を走った後に、実家に帰省した。その際に走ったのが「やまなみハイウェイ」だった。
それ以降の思い出は、「くじゅう連山」への登山の際に、熊本市内のバスセンターを出発する九州産交バスの「九州横断バス」に乗り、阿蘇谷から「やまなみハイウェイ」に入り、「外輪山」を上ってからは「瀬の本高原」を走り、熊本県と大分県の県境の先の「水分峠」を越えて「長者原」に下り、くじゅう登山口近くのバス停で下車したものだ。
この道を走る度に記念撮影をするのが、「くじゅう連山」の東から「三俣山(みまたやま)」、「硫黄山」、「星生山(ほっしょうざん)」と続く山容を背景に持つ「長者原」の看板から風景で、湯布院から見える「由布岳」の景色も良いが、こちらの方が好みの風景だ。
この「やまなみハイウェイ」では、まだまだ色々な思い出がある。
目的地まで私たちを連れて行ってくれる道だが、そこに思い出が幾つもあるということは、道は目的地に引けを取らないことなのだろう。そのことが、今の私の「キャンピングカーの旅」での車窓風景の位置付けなのかもしれない。
「阿蘇神社」から「やまなみハイウェイ」に入ってからは先ず、阿蘇谷の田園の中を走り、「外輪山」の麓から駆け上ると「城山(しろやま)展望所」があり、立ち寄った。
その駐車場からも阿蘇五岳は十分に見渡せるが、展望所から少し突き出た草に覆われた痩せ尾根があり、そこまで行って、阿蘇山の眺望を楽しんだ。右手を見ると、阿蘇谷の田園越しに、「外輪山」の突き出した部分の崖が見えた。標高差は2~300mはあるのだろう。「外輪山」の大きさまでも味わうことができた。
城山レストハウスの横を歩いて駐車場に戻る時、東南アジア系の女性なのか、スマホを耳に当て、ここからの風景を説明しているようだった。聞こえてくる言葉から多分、タイからの観光客のようで、ここからの景色は外国の方にも感動を与えるのだろう。
「城山展望所」からの「やまなみハイウェイ」が平坦部に差し掛かるあたりで左折して、「ミルクロード」に入った。そこは「瀬の本高原」の南側の縁で、そのまま「外輪山」につながる場所でもあった。
この道は元々、沿線の牧場から牛乳を運ぶ農道として整備されたことから、この名称になったという。
牧草地の中を走るこの道は、今の季節は一面茶色になってはいるが、車窓風景を見ながら、のんびりと走った。ところが、ツーリング中の数台のバイクに抜き去られ、遠くに見える後続のクルマにはすぐに追い着かれてしまい、彼らに道を譲りながら思ったのは、少し上下しながらジグザグしているこの道を速い速度で走るクルマのドライバーやバイクのライダーの気持ちは分かるものの、やはり、この景色をゆっくりと眺めないのはもったいないと。やがて、阿蘇五岳の眺望が素晴らしい「大観峰(だいかんぼう)」へ続く道へ左折した。
「大観峰」近くの駐車場は満車に近い状況だったため、ひとつ手前の駐車場に「ジル」を停めて、標高936mの「大観峰」に向かって、緩斜面の歩道を歩き始めた。天気は快晴、心地良い高原の風が吹いていて、気持ちの良い登りだった。
途中にBMWのバイクがあり、そのライダーに話し掛けたところ、三重県の鈴鹿から来たとのことだったので、ホンダ車ではないの? と質問したところ、元ホンダの社員だった。私は元ヤマ発の社員ですよと応え、和やかな雰囲気の会話になった。彼はフェリーを多用してここまで来たとのことで、今日、大分からまたフェリーに乗るとのことで、忙しそうな旅だ。
「大観峰」までの上り坂を登るに連れて阿蘇五岳の最高の景色が広がっていった。「大観峰」とは、名は体を表すではないが、そのままの意味で受け取れる地名だ。
上り詰めた場所には「大観峰」と書かれた石碑が立っており、正面の「阿蘇山」はもちろん、「根子岳」の左側奥には「祖母山(そぼさん)」と「傾山(かたむきやま)」、左に目をやると北東の方角には「くじゅう連山」、その西の端は「涌蓋山(わいたさん)」、その奥には「万年山(はねやま)」が見え、西の方角には「鞍岳(くらたけ)」、南外輪山で2番目に高い「俵山(たわらやま)」まで見えた。
これまでに登山したことのある山の山容はすぐに分かるもので、ここから一望しながら、大学生の頃に登った多くの山々を一望できたのはたいへんラッキーだった。なお、登った山でここから見えないのは、長崎県の「雲仙岳」、鹿児島県の「開聞岳」、福岡県の「宝満山(ほうまんざん)」のみだった。
ここでは、殆どの人がスマホで、阿蘇五岳の涅槃像を背景に自撮り写真を撮っていた。私はデジカメに三脚を取り付け、その脚を伸ばして、セルフタイマーにして、阿蘇五岳を背景に自撮りをした。
この石碑のある山頂から阿蘇谷の方向に突き出ている先の展望台にも行って、この旅の最後の阿蘇五岳の写真を撮った。
どこかは分からなかったが、この「大観峰」は、パラグライダーがテイクオフする場所でも有名だ。この日は強い風が吹いていたためか、パラグライダーの姿がなかったのは残念だった。
そして、頂上から駐車場までは、ひとりで下っていた40代の女性と山についての会話をしながら歩いた。
駐車場に戻った時は、どこも満車の状況で、バイクも溢れ返っていた。
ちょっと早いが、湯を沸かして、カレー味のカップ麺を作り、白いトレーナを脱いで食べた。
その後、「今、大観峰だよ」と、妻と娘に電話を入れた。妻とはビデオ通話で、大観峰からの阿蘇山の景色を見せながら話した。娘には、孫向けに「くまモン」のTシャツを買うつもりと伝えたところ、それを着て小学校に行くと女子から色々と言われるかもしれないし、そもそも「ダサい」・・・とのことで買うのを諦めたが、それにしても、今の小学校の高学年はたいへんだ。
その後の「ミルクロード」も草原の中の道で、この雰囲気から聞きたくなったのは何故か、竹内まりあのベスト盤のCDの曲で、それを聞きながら、ゆっくり、ゆっくりと走った。
途中で、2ヵ所の展望台に立ち寄り、「大観峰」からの涅槃像の阿蘇山とは異なる山容が珍しく、そのアングルの写真を撮った。
バイク乗りがよく走る「ミルクロード」を走り終え、菊池郡大津町内でR57に入った。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(北部九州) 作家名:静岡のとみちゃん



