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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(北部九州)

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 それから長い休憩を取った。これ以上は動きたくなかったが、私のアパートに戻らなくてはならない。大学の敷地からさほど遠くはなかったが、キャンパス内を歩いて帰宅するまでの道のりがとんでもなく長く感じられ、アパートの2階に上がる最後の階段が、途方もなく辛いものだった。その時、「艱難辛苦(かんなんしんく)」の四字熟語を思い出した。多少の相違はあるが、そんな気分だった。本当は「疲労困憊(ひろうこんぱい)」か「満身創痍(まんしんそうい)」が正しい表現だったのだろう。
 その翌日から数日間、キャンパス内を歩く一部の大学生と目が合うと互いに微笑むのだった。

 「阿蘇山上広場」からの「ジル」での下山は「阿蘇パノラマライン」は走らず、別のルートで南郷谷に下った。
 その坂道はかなり急な勾配で且つ長く、ブレーキを多用せず、シフトダウンしてゆっくりと下っていった。幸いにも、後続車はなく、超安全に下ることができた。その途中、南郷谷が見える展望台があったが、逆光の中ではくっきりと見えなかった。
 下り切ってからは南郷谷を西へ向かった。「外輪山」の「冠ヶ岳(かんむりがたけ)」や俵山の山容を見ながら、立野火口瀬でR57に合流する手前で、その年の3月に開通した白川に合流する黒川に架かる「新阿蘇大橋」の袂にあった新阿蘇大橋展望所「ヨ・ミュール」で小休止した。
 その展望台からは、修復が進んでいる被災した「阿蘇大橋」も見下ろすことができるが、この「新阿蘇大橋」はかなり高く長く大きく、そこを走れば、空を飛んでいるように感じるのかもしれない。対岸の道路も刷新され、従来の道からかなり高い場所に新しくできたようで、全てが立派になった。

 「新阿蘇大橋」を渡ってからR57に入り、道の駅「阿蘇」を目指した。その途中で軽油を満タンにして、ついでに、コインランドリーの場所を教えてもらった。
 それは「阿蘇パノラマライン」沿いにあり、実家を出発してから溜まった4日分の洗濯物をランドリーマシンに入れて、終わるまでの間は、「ジル」に持ち込んだキャンピングカーの月刊誌を読んでいた。

 コインランドリーに立ち寄った分、道の駅「阿蘇」への到着時間が遅くなってしまったが、それでもまだ午後3時過ぎだった。南郷谷を出発してから阿蘇山を巡ってきたが走行距離は長くなく、「中岳」の火口に立ち寄れなかった分、道の駅には早めに到着した次第だ。
 その時の駐車場は観光客の多くのクルマで占められ、車中泊しそうなクルマは見当たらない状況だった。それでも、R57からはある程度の距離を確保したものの、トイレからは離れた場所になってしまったが、そこに「ジル」を停めた。運転席に座って、駐車場の様子を見ていると、案の定、何台かのクルマが出て行き、ここより車中泊に相応しい場所が空いたので、そこに「ジル」を移動して、もう1回繰り返すと、ベストポイントに駐車できた。気分が良い。

 日没までは十分な時間があり、心置きなく楽しむことにした。その時に気付いたのは、時計の時刻ではなく、日没までの明るさの変化が、時を刻む目安になっていたことで、そもそも腕時計を付けていなかったこともあり、それが「キャンピングカーの旅」だと感じた。

 先ずは駅舎に入り、ショップなどを見て回ったところ、商品のパッケージもそうだが、そこら中に熊本県PRマスコットキャラクターの「くまモン」が並んでいた。「第1回ゆるキャラグランプリ(2011年)」で王者になり、全国に知られることになり、いまだに知名度は抜群だ。
 この紀行文を執筆している2025年11月、東北や北海道を中心に全国レベルでのクマによる被害のニュースが連日、TVなどで報道されているが、里山や平野部の街にも出現するクマがくまモンやプーさんならば良いのにと、つい思ってしまう。

 そして、道の駅の隣のJR阿蘇駅に行ったところ、駅前のロータリーの中に「ONE PIECE」のキャラクターのひとり「ウソップ」の像があった。ここも聖地巡礼のポイントなのだろう。
 阿蘇山を背景に「ウソップ」の像を撮りながら気付いたのは、夕日に映える阿蘇の山々で、特に「根子岳」の凹凸の激しい尾根と谷の陰影が印象的だった。
 「ONE PIECE」のキャラクター像について調べたところ、熊本県内には全部で10体あり、熊本地震からの復興を応援する「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト」の一環として設置されたとのことだった。聖地を訪れるファンによる復興支援につながる経済効果は、最初に設置された「ルフィ」の像単体で、年間約26億円の経済効果があったと試算され、10体全体では、その2~3倍の効果になるとのことで、マジに驚いた。熊本県出身の尾田栄一郎先生、万歳!

 西日に照り輝く線路の写真が撮れるのではないかと思い、豊肥本線を跨ぐR57の跨線道路橋に行くと、多少のタイミングがずれたため期待したほどではなかったが、阿蘇駅の対向式(対面式)ホームは列車交換が可能な一線スルー方式で、夕日が反射する4本の線路のまずまずの写真が撮れた。
 その時に思い出したのは、あのアニメ映画の「君の名は。」の跨線橋のある田舎の駅のホームのシーンだったが、この阿蘇駅には跨線橋はなく構内踏切で、若干の物足らなさを感じた。
 その一方で、阿蘇谷の北側の西日に映える「外輪山」の山容が美しく、さらにその遥か北側には「くじゅう連山」の眺望も広がっていて、その情景に出会ったのは嬉しかった。

 「ジル」に戻り、タオルなどを持って、阿蘇坊中温泉「夢の湯」に歩いて向かった。少し冷えた体に嬉しい湯の温度で、暫く浸かっていた。そのせいか、かなりの長湯になってしまった。
 その帰り、夜空を見上げると、星が良く見えていた。阿蘇谷の標高は何メートルなのかと思いながら「ジル」に戻った。

 夕食は、福岡県や大分県でよく食べられる「だんご汁」と鯖缶、デザートは道の駅で買った熊本の味「いきなり団子」で、ふるさとと大学時代の味のオンパレードになった。

 この夜、道の駅のWiFiを受信して、PCでネットを見ていたのだが、途中から見られなくなった。その原因は分からず仕舞いだった。それからちょっと、うたた寝をしてしまった。温泉と夕食に満足してしまったのか、多少の疲れもあったのか、午後10時にはバンクベッドで就寝した。