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分裂犯罪

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 しかし、それが、それこそ、
「因果応報」
 というには、あまりにも悲惨なことだったということになるだろう。
 そう、
「今回の犯人は、遠藤だった」
 剛毅は、
「佐藤に対しての復讐」
 ということであった。
「何をそんなに復讐するということになるのであろうか?」
 それが、
「自分が作ってしまった悪魔が、自分の大切にしているものを壊し、取り返しのつかない女王教に追い込んでしまった」
 ということだった。
 こともあろうに、佐藤という男は、
「自分の大切にしている妹を犯し、自殺に追い込んだ」
 ということで、そこから復讐を企てた。
 手始めに、
「小説の協力者」
 ということで、彼に、
「耽美主義の作品をたくさん書かせる」
 ということが、伏線となった。
 自分の中で、今回の殺人の青写真を、耽美主義でつくり、決して表に出すことはなく温めておいた。
 それが、やっと日の目を見るということになったのだ。
「妹の復讐」
 ということに必死になり、
「殺人計画を練った」
 というところまではよかったのだが、どうやら、
「佐藤は不治の病に犯されていた」
 ということであった。
 本来であれば、前章で明かすべきであったが、タイトルだけで、引っ張ったのは、作者の考えがあったことだが、読者には看破できたであろうか?
 この不治の病というのが、
「この殺人の見えない側面を表していた」
 正直、今回の犯罪に関しては。
「誰にも分かっていない」
 という部分があった。
 それが側面であり、計画した遠藤にも想像がつかなかったのだ。
 それこそが、
「本人が、向田に電話を入れる」
 ということであった。
 断末魔の瞬間の、


「火事場のくそ力」
 というものであろう。
 事件はある意味、簡単に片付いたが、結局は、側面となることであったり、
「事件の本質」
 というところまでは、捜査員には分からなかった。
 それこそが、
「今回の事件における本当の動機」
 というものが潜んでいるのではないかと思えるのだ。
 今回の事件が、
「他を追随しあいもの」
 といえるような特質性があるということなのかもしれないが、それが、
「実際には、遠藤の遺作」
 ということで、
「後にも先にも、この一作」
 というだけの作家が、自分の死を迎えることで、完結されたのであった。
 そもそも、
「最後には、死を迎えるということは、小説の中でも書かれていることであり、それが、このお話の、レクイエムであり、犯人にとっての、遺書のようなもの」
 といってもいいのかもしれない。
 それをどこまで分かっているのかということは誰にも分からない。
 それを考えれば。
「今回の事件というものは、最初から、死んだ人間に操られていた」
 ということになり、
「二人は、それぞれに、犯罪というものを、一つの話の中で、別々の犯罪を形成していた」
 ということになるだろう。
 それを考えると、
「向田という男の存在は、最後に残った勝ち組ということになるのではないか?」
 ということになるが、
「そのことを、向田本人はおろか。誰も思っていない」
 というところが、今回の犯罪の、一つの肝になっているのかもしれない。
 それこそが、かつての
「自費出版社系の詐欺事件」
 というものを、犯人は参考にしたのかもしれないのであった。

                 (  完  )
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作品名:分裂犯罪 作家名:森本晃次