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二階級特進

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 ということで、今村は殺されたのかも知れないと思ったのだ。
 今村は、
「自分の殺される場面も克明に描いていた」
 というのだ。
「彼は学生時代には、作家志望だった」
 ということもあって、フィクションでありながら、ところどころにリアリティがある。
 自分が殺されるのも、
「死体を動かす」
 ということ、そして、
「間違い殺人ではないか?」
 と警察に思わせるというところ、
 まるで、最初から分かっていたかのように書いているのだ。
 そこが、
「リアリティがありながら、空想物語としては、完璧な内容」
 というすごい話になっているのであった。
 そして、なんといっても、この事件で一番の肝は、
「話の中では、誘拐された会長は殺される」
 ということになっているのだが、実際に誘拐までは、
「物語の通りに展開している」
 ということになる。
 そして、会長を殺そうとしている人たちの中から、警察は前述の三人に犯人を絞り込んだと書かれていた。
 だが、実際には、
「三人の共犯」
 ということであった。
 お互いに
「動機というものはまったく別であり、奥さんと、最初の容疑者である、彼女を自殺に追い込まれたという男性の間で、共犯というのはある」
 ということになり、
「実際に、妾の子供」
 ということを含めると、
「無理がある」
 という犯行になるだろう。
 しかし、彼を引き入れることで、
「共犯としてありえない」
 と警察の通り一遍の捜査では思わせるような、
「カモフラージュ」
 として考えられたことであった。
 それぞれに、
「十分な動機はあるが、だからといって、協力関係になるというのは、考えにくい」
 つまり、
「利害関係の一致」
 というだけの犯罪ということで、
「事件というものをいかにカモフラージュするか?」
 ということに特化した犯罪ということではないだろうか?
 ただ、彼の物語の中で最後にどんでん返しがあった。
 それは、
「この事件を計画したのが、実は会長だ」
 ということであった。
 しかし、実際には、最後に会長は、殺害されて見つかるということになった。
 それこそ、
「事実は小説よりも奇なり」
 ということを表しているのかも知れない。
 問題の一つとしては、
「ストーリー性の関連が薄い」
 といわれるものであり、
 さらに、
「策を弄すれば弄するほどに、見えてくるものが狭まってくる」
 ということで、ある意味、事件というものは、
「思い通りにいかない」
 ということであろうが、事件を客観的に考えることで、全体が見えるということなのか、それとも、
「一人に特化して、自分の目というもので見ることで、逆に全体が見えてくる」
 ということになるのか。
 そのあたりが、
「今回の犯罪というものが、いかに裏の裏を見るということで、この小説が、ベストセラーになる」
 ということを示しているだろう。
 実際に、今回の事件が、
「本当に警察を翻弄した」
 ということでの評価で、
「世間に受け入れられるということになれば」
 というものであった。
 それこそ、
「死んでからの、二階級特進」
 とでもいえるのではないだろうか?

                 (  完  )
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作品名:二階級特進 作家名:森本晃次