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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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朽ちた聖域 Ⅱ廃教会でのセッション

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 杉内先輩がドアを押す音と共に、空気が重く沈んだ。ほこりの匂いと湿った木の匂いが立ち込める中、アーチが交差するリブ・ヴォールトを思わせる構造の天井や、トレーサリーのような装飾の施された広い窓が、静かな存在感を放つ。しかも建物内の体感温度は、外の気温よりも2、3℃低く感じる。
(まるで、「音の墓場」…)
 亜美は心の中でつぶやいた。

 音合わせに適する場所に移動する途中、一行は、長椅子が幾つか並べられている間に来た。一番前に置かれている長椅子には、所々に穴の開いている毛布のような布が掛かっている。また、その横にある鍵のかかった扉の上方には、ゴシック聖堂のバラ窓を模したステンドグラスがある。そして彩色された花冠を頭に乗せた白い天使の彫刻が、扉の左右に1体ずつ置かれている。
 亜美は少しの間立ち止まり、心の中でエルガーの「愛のあいさつ」をそれらの前で演奏した。