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笑みの中の恐怖

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「動機の有無」
 というものが考えられる。
 そしてその次には、
「アリバイの確認」
 というのが行われる。
「動機があって、アリバイがなければ、重要容疑者」
 ということになるだろう。
 当然、逮捕状が充分請求できるというものだ。
「動機はあるが、アリバイはない」
 ということであれば、
「基本的には、捜査線上から外れる」
 ということになる。
 そして、
「動機はないが、アリバイもない」
 という場合は、そもそも、捜査線上に上がってくることはない。
 それこそ、
「赤の他人と変わりない」
 といってもいいだろう。
 問題は、
「奥さんに、動機があるかどうか?」
 ということだ。
 旦那に聞こうにも、殺されてしまっていて、しかも、渦中の奥さんは、
「行方不明だ」
 ということだ。
 一番、
「分かりにくいパターン」
 ということである。
「まったくの灰色だ」
 といってもいいだろう。
 警察とすれば、問題なのは、
「今度の死亡事件と、奥さんの失踪事件を一緒に考えるかどうか?」
 ということであった。
 それを思案している間に、鑑識から、解剖に関しての報告があった。
「詳しいことは別として。殺人にほぼ間違いない」
 ということだった。
「死因は、毒殺」
 ということであり。
「調合をしないと出来上がる毒物ではなく、それ専門の場所に、本来であれば、厳重に保管され、管理されているものだ」
 ということであった。
 これにより、事件は、
「殺人事件」
 ということで、正式な捜査本部ということになった。
 そして、
「奥さんの失踪」
 というのも、並行して捜索されることになったのだ。
 この場合は、まずは、関係者への事情聴取が行われたのは当然のことで、その重点として、
「それぞれの仲について」
 ということと、
「殺人を行う動機」
 ということについても、捜査された。
 しかも、
「二人それぞれに、動機の有無」
 というのも捜査された。
「ひょっとすると、奥さんは殺されていて、その犯人が旦那かも知れない」
 というものであった。
 しかも、旦那の死因が、
「毒物」
 ということであれば、
「薬か何かに混ぜて、それで殺した」
 とも考えるからだ。
「だから奥さんは、自部が犯人だから逃げている」
 ということになるわけであり、この構図が、
「事件の構図としては、一番わかりやすいものではないか?」
 と考えられるというものである。
 ただ、奥さんが、
「旦那が失踪に気づく」
 というくらいに、失踪してから数日経っていたということで、
「失踪ということであれば短いのかも知れないが、殺人だということになれば、これ以上長いということはないだろう」
 といえるのではないだろうか?
 少なくとも、
「奥さんは、失踪」
「旦那は、殺害された」
 ということから、
「お互いに対しての動機の有無」
 というのは、あくまでも、
「推測の域を出ず」
 といってもいいだろう。
 だから、
「復讐」
 という漠然な動機は分からないかも知れないが、
「遺産相続」
 であったり、
「保険金詐欺」
 などであれば、分かりやすいというものだ。
 だが、考えてみれば、どちらも、
「犯人だ」
 ということになれば、もし、
「執行猶予というものがついた」
 ということであっても、有罪には変わりはないので、
「相続権喪失」
 ということになるだろう。
「それを喪失しないようにして、いかに相続ができるか?」
 ということを考えているとすれば、
「かなりの知能犯だ」
 といってもいいだろう。
「今回の事件においては、
「まず、奥さんに話を聞く」
 ということが一番だと考えているのは、
「桜井警部補」
「清水刑事」
 をはじめとして、他にもたくさんいるということになるのだ。
 いろいろ、心当たりを捜索したが、
「奥さんの行方は、ようとして分からない」
 といってもいいだろう。
 知り合いにも片っ端から訊ねた。
 旦那であっても、分からないことを、警察は、その権力を用いて、簡単に暴くことができるというのは、
「いかにも警察というのは、国家権力だ」
 ということになるだろう。
 清水刑事は、
「奥さんに話を聞かなければいけない」
 ということで、彼女の行きそうなところをいろいろ探してみた。
 それに関しては、桜井警部補も最優先に考えていたことだったが、捜査本部としては、その重要性に掛けては、そこまで考えていなかったようだ。
 そこで、その捜査を、桜井警部補は、
「清水刑事に命じた」
 のだった。
 清水刑事は、今では桜井警部補の腹心の部下であった。
 今まで、桜井が、刑事の時代から、今までに何人も
「腹心の部下」
 を変えてきた。
 しかも、その部下というのは、今では、皆、
「もれなく、一人前の刑事」
 と言われている。
 他の所轄に異動になった人もいるが、必ず、出世しての異動であり、それだけ、
「桜井警部補」
 が、しっかりと面倒を見ているということでもあった。
 もちろん、他の署からも、桜井警部補の人徳というものは、定評があり、
「桜井警部補の腹心の部下だった」
 というそれだけで、どこの署からも引っ張りだこという話もあるくらいだ。
 ただ、桜井警部補は、かなり厳しい。
 いわゆる、
「昭和の刑事」
 というやつである。
 だから、今の若い刑事にはついていけないだろう。
「まるで、シーラカンスだ」
 とも言われていて、
「それこそ、名前だけだ」
 とも思われていただろう。
 だから、
「腹心の部下」
 を欲しがっているところも、一定数いたが、実際には、大多数の警察署からは、
「そんな問題になりそうな刑事、ほしくない」
 とばかりに、
「ややこしくさせられるだけの刑事を誰がほしがるか」
 ということであった。
 だから、ここの所轄である、
「K警察署」
 というところは、
「桜井警部補」
 というのは、
「欲がない」
 とも言われていた。
 年齢的には、
「もう警部に昇進していてもいいくらいの年齢であるが、実際に見た目は、まだまだ40代前半ということで、階級にちょうどいいくらいだ」
 とも言われていた。
 実際には、
「出世に興味がない」
 ということで、
「刑事として、現場で動けるのが一番だ」
 と長い間、昇進試験も受けなかった。
 しかし、さすがに、最近は、しびれを切らしたのか、
「警部補と、一介の刑事との間の水」
 というものに、疑問を感じてきたようだ。
 一番大きなものは、
「捜査に必要な請求権というものの有無」
 というものであった。
「警部補になると、現場の責任者ということで、いろいろな請求権が与えられる」
 ということで、いわゆる、
「令状の請求」
 ということである。
 裁判所などに請求できる、
「捜査令状」
 であったり、
「逮捕状」
 というものである。
 つまり、捜査において、相手のプライバシーや権利を奪う可能性があるものは、裁判所に申し出て、令状をもらう必要がある。
 ということでの、
「捜査令状」
 と、
「逮捕状」
 である。
 しかも、
「現場の責任者」
 ということで、なんといっても、捜査本部において、
作品名:笑みの中の恐怖 作家名:森本晃次