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三すくみの正体

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 幸いにも、警察としても、ひき逃げにおける手掛かりというものは、ほとんど得られていないようだった。
 誰にも見られていないし、防犯カメラにも顔も映っていない。
 そもそも、ひき逃げ未遂を起こすつもりだったということで、自分に関係のある車を使うはずがない。
 盗難車を使っての犯行で、基本的には、警察に捕まることはない状態だったといってもいいだろう。
 しかし、ひき逃げをした相手のまわりが、
「ヤバい連中」
 ということで、沢村自身が、危険な状態になった。
 少なくとも、実を隠す必要があるということであり、
 そもそも、脅迫者から、
「しばらく身を隠せばいい」
 ということで、それだけの、
「逃避行の費用」
 はそれなりにもらっていた。
 だが、これは、
「脅迫者側の計画の一部」
 ということであり、沢村は、
「一杯食わされた」
 ということだ。
 なんといっても、そもそもが、ちゃちな犯罪をネタに、脅迫されるというような、ある意味、
「情けない状態」
 ということであったのは、彼らが、
「俺たちの犯行は、頭がいいものではなく、単純計画だ」
 と思わせるためということであり、しかも、このような、
「ちゃちな計画」
 ということが、却って、相手をビビらせるということになるのである。
 それを考えると、
「これは、時間稼ぎなんだ」
 と思えてきた。
 それだけ、沢村は開き直りができていたのだが、
「相手が警察ではなく、別の悪の組織だ」
 ということで、
「正体が分からない」
 ということで、結局、何もできないということにしかならないのであった。
 脅迫者側というのは、
「実は、自分たちも、同じように、誰かに脅迫されている」
 ということであった。
 だから、脅迫者側を脅迫している連中には、
「この事件のすべて」
 が見えていたということである。
 だから、一番外にいる脅迫者とすれば、自分たちが脅迫している連中が、
「似たようなことをしている」
 ということの本質を分からないでいた。
「なんだ、こいつら?」
 と考えたことだろう。
 そもそも、この二人も、似たようなことで、
「嵌められた二人」
 だったのだ。
 そして、この二人は、
「人を殺すふり」
 ということではなく、本当に、
「人を殺せ」
 という命令を受けていたのだ。
 ただ、一つ言えることは、
「表の組織」
 というものは、沢村を決して攻撃はしてこない。
 あくまでも、
「赤の他人」
 ということにしておかないと、自分たちの計画が瓦解するということである。
 何しろ、
「本当に殺人をさせる」
 ということであるから、少なくとも、
「表の脅迫者が、沢村を脅迫している連中と知り合いだ」
 と思わせてはいけないということだ。
 しかも、ここで、ひき逃げをされて、病院に入院した人というのは、なんと、
「二人の脅迫者を脅迫している」
 という連中の仲間だったのだ。
「すべてを表から見て知っている」
 という連中なので、
「うかつに手を出すことはできない」
 ということになり、
「誰に対しても手を出すことはできない」
 ということになる。
 そうなると、
「沢村は、そもそも一番表の組織に対して、手を出すわけにはいかない」
 と考えさせるだろう。
「この関係。どこかで見たことはないか?」
 と沢村は感じた。
 これは、デジャブではないが、実に似ている感覚であった。
 それが、
「つかさによってもたらされた感覚」
 ということで、
「デジャブの正体を見た」
 と感じたのだった。
 そう、この、
「三種三様」
 というのは、それぞれに、
「利害関係」
 ということで、
「三すくみの考え方ではないか?」
 ということであった。
 今まで、時々デジャブだと考えていたこと、その正体というものが、この、
「三すくみだ」
 と考えると、
「さらに沢村は、自分の運命というものを、呪わずにはいられない」
 と考えるのであった。

                 (  完  )
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作品名:三すくみの正体 作家名:森本晃次