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中途覚醒

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「お互いそれぞれに、よくこんな絵に描いたような偶然がある」
 といえるだろうか。
 それこそ、
「事実は小説より奇なり」
 といってもいいくらいで、
 そもそも、こんな言葉が今も言われているくらい、
「犯罪というのは、本当に、想定外のことが多い」
 といえるのではないだろうか?
 ただ、それが、
「錯覚」
 という感覚になるということになるのだということを、今まで感じたことがなかっただけに、逆に、
「こんなことで計画を立てて、本当にうまくいくのだろうか?」
 と考えた。
 しかし、
「問題は、完全犯罪を行う」
 ということが目的というよりも、
「今の状況は、何もしなければ、結局、破局でしかない」
 という状況に追い込まれてしまったことから、
「いかに、先を考えるか?」
 を考えると、
「社会的に、いかに欺けるか?」
 ということが問題であり。
「そもそも、錯覚から入った今回の犯罪が、今度は、いかに相手を錯視の中に追い込むか?」
 ということが問題となるのであった。
 彼が、陥ってしまった問題は、
「交通事故」
 であった。
 問題は、その場で警察に連絡をしていれば、状況は問題がなかったかも知れないが、結果として、その場から立ち去り、
「ひき逃げ」
 を引き起こしたのだった。
 最初は、
「何とか逃れられる」
 という状況であったが、一度逃げてしまうと、状況はどんどん悪化してくる。
 しかも、
「見つからなければそれでいい」
 というはずなのに、結果として、どんどん悪い方に向いていったのだった。
「なぜ坂口がひき逃げをおこしたということを、大久保が知ったのか?」
 ということであるが、大久保は、フリーランスの仕事の中に、
「マスゴミ関係」
 であったり、
「警察関係」
 の仕事もあったりする。
 細かいところまでは分からないが、それぞれの立場を見ていることで、それぞれでしか見えないものを想像し、記事を面白おかしく書くというテクニックが出てきたのだった。
 そうでもなければ、
「フリーランス」
 という仕事をまともにできるわけもなく。さらには、その中に、狡賢さというのもなければ、うまくはいかない。
 しかし、大久保は、最近、
「うまくいかない」
 という方に状況が傾いていた。
 最初は、
「何とかなる」
 とおうレベルであり、そう思った時、何とかなってきたのが今までだったが、今回は、どうにもうまくかみ合わない状況になってきたということで、
「このまま、フリーランスを辞めて、世間一般の仕事に就くか?」
 あるいは。
「今の道を突っ走って、いばらの道を歩むか?」
 と考えたところで、
「今更、正攻法など、俺にできるわけはない」
 と考えたのだ。
 そこで、誰かと組んで完全犯罪を行えば、俺にだって、運が向いてくると考えた。
 大久保が考えたのが、
「交換殺人」
 というものだったのだ。
「ちょうどいい相手」
 ということで、
「相手には弱みがあって、自分の助言を天の助けとでも思って、こちらのいうことを何でも聞いてくれる」
 という人。
 しかも、
「頭の回転は速いが、こちらを信じて疑わない正直な人間」
 ということで、
「そんな都合のいい人間は、そうはいない」
 と言われるような人を探していた。
 なんといっても。交換殺人というのは、
「成功すれば、完全犯罪となるが、そのためにはリスクが大きい」
 というものである。
「いばらの道を進む」
 と考えた時、
「交換殺人がうまくいかないくらいであれば、これから先の人生。うまくいくわけはない」
 ということを考えていた。
 だが、実際には、
「今回の交換殺人というのは、想定外のことが起こってしまったことで、最初から頓挫してしまった」
 これは、まったく予期していなかったことであり、
「いくら、計画が完璧だった」
 ということであっても、実際には、最悪の状態になるといってもいいだろう。
 今回の犯罪というのは、
「ひき逃げ犯を、ちょうどいい相手と考え。その人を、交換殺人の実行犯に仕立てる」
 ということで計画を立てたのだが、そのあたりに問題があったのだった。
 今回のひき逃げ事件自体が、ひき逃げをした坂口にしても、今回の犯罪計画を立てた大久保にしても、計算外だったのだ。
 そもそも、
「ひき逃げをした」
 ということが、間違いのもとであり、
「ひき逃げ犯だから、交換殺人の相棒に引き入れた」
 ということになり、これが、結局、
「交わることのない平行線」
 というものを描いてしまうということになったのだ。

                 大団円

 ひき逃げをおこした時、
「まわりに誰もいない」
 つまりは、
「目撃者がいない」
 ということで、とにかく坂口は怖くなり、
「早く、その場から立ち去りたい」
 という心境になったことで、取るものもとりあえず、一目散で逃げ出したのであった。
 坂口は、だから、その事故が、
「その後、どうなったのか?」
 ということを詳しくは知らない。
 ただ、事故に遭った人が、とりあえず意識不明で病院に担ぎ込まれたということだけは分かっていて、
「ほとぼりが冷めるまで、隠れているしかない」
 ということであった。
 警察の捜査で、
「坂口が怪しい」
 というところまでは、分かっていなかった。
 その時雨が降っていて、証拠らしいものはハッキリとしなかったからだ。
 確かに目撃者もおらず、そもそも、そんな大雨だったことで、ブレーキを踏むのが遅れたのだ。
 実際にブレーキは踏んだは、その跡も、
「雨が洗い流した」
 と思えば、
「隠れるしかない」
 と考えたのだ。
 そんな状態で、
「よく、交換殺人に引き込めたものだ」
 ということであるが、
「行方不明になった状態だから、実行犯になった時、行方不明者ということで、もし、何かの理由で疑われても、動機がないことから、余計に疑いは向かないだろう」
 ということであった。
 ただ、今回の交換殺人というのは、
「実際にひき逃げをした相手というのが、これこそ偶然ではあるが、大久保が死んでほしい」
 と思った人だったのだ。
 本当であれば、
「殺害まではするつもりはなかった」
 という相手だったのに、いみじくもひき殺してしまったというのは、
「これは、願いが天に通じた」
 ということなのかも知れないと感じたからで、
「だったら、俺がお前の代わりにお前が死んでほしい相手を殺してやるぞ」
 とそそのかしたのだ。
 しかし、考えてみると、
「坂口にだけ都合のいい話」
 ということではないか。
 計画者である大久保にとって、何らメリットはない。
「死んでほしい人が死んでくれた」
 ということで、それこそ、
「坂口を警察にチクれば、仇は討てるし、それでいい」
 ということだろう。
 しかし、大久保には、もう一人死んでほしい人がいて、その人を殺すのが目的だった。
 つまり、
「絶対に逆らえない相手を手に入れた」
 ということでなんとでもなるのだ。
 大久保としては、交換殺人を持ち掛けたのは、
「相手に有利なように考えてあげないと、自分が恨まれて、殺される可能性がある」
 ということで、
作品名:中途覚醒 作家名:森本晃次