悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(山陰(後編))
トンネルの中を走って近付いてくる音が聞こえたような気がしたので、カメラを向けると、トンネルから抜け出す気動車(ディーゼルカー)が見えて、シャッターを押すと連写が始まった。その結果、40枚もの写真を撮ってしまった。
次の気動車は30分後の下りとのことで、それまでは、彼との会話を続け、一区切りついたので、駅舎に戻って、壁に貼られていた鉄道の写真を見て、次に撮る写真撮影の参考にした。
下りの気動車がやって来た。連写撮影のシャッターを押すと、4枚撮ったところで、止まってしまった。連写はあまりやっていないので、止まってしまった理由がよく分からなかったが、確認すると、SDカードの残量が無くなっていた。それでもまあ、良い写真を撮ることができた。
久し振りの「撮り鉄」を体験することができた。今夜、車中泊しながら、撮った写真を見ることにした。
その後、お互いに、旅の安全をと言いながら、この道の駅を後にした。
R9を走り始めてから、無料の高速の山陰道が並走していることを思い出した。今後、この道の駅に立ち寄るクルマの数は減少してしまい、その結果、道の駅の営業が立ち行かなくなるのではないかと。道の駅が好きな私は、思わず心配してしまった。
これまでの旅で、駅舎の経営はやっておらず、24時間使用できるトイレのみという道の駅を見たことがあり、そんな道の駅が増えてしまうのは残念で仕方がない。今回は何も買わなかったが、次回は何か買うことに決めた。
道の駅のいち利用者が、そこの経営状況の現状を知らず、勝手に想像しただけのことだが、実際は、並走する無料の高速の影響がないのかもしれないし、マイナス分を既に何らかの手を打ってリカバリーできているのかもしれないし・・・、次回、山陰を走る際は、この道の駅に必ず立ち寄って、その後の様子を見てみたい。
道の駅から走ったR9は海を離れて少し山間に入り、およそ30km先で益田市内に入った。
1週間分の洗濯物が溜まっていたので、今日はどこかのコインランドリーで洗濯をする予定にしていた。
今回の「キャンピングカーの旅」では、1週間分プラスアルファの着替えを「ジル」に積み込んでいた。各地に点在するコインランドリーは、長旅では必須の施設で、たいへん助かっている。洗濯から乾燥までは1時間は掛からず、その施設内で畳むこともでき、便利だ。
コンビニの駐車場にちょっと入り、市内のコインランドリーの場所をGoogleで検索して、最も近い場所に決めた。今回の旅の2回目の洗濯を始める前に、着ていたジャージの上下も着替えて、それもランドリーマシンに入れた。
「ジル」の中でロードマップを見ながら、この先の計画を立てようと戻ろうとした時、コインランドリーの隣のトリミングサロンから出てきた同年輩の女性から声を掛けられ、いきなり、キャンピングカーを買いたいとの話が始まった。あれこれよくしゃべる女性で、ここでのキャンピングカーとの出会いはUFOを見るのと同じくらいの可能性とのことだという。はいはい。私の経験から、キャンピングカーの選定について、それなりのアドバイスをさせてもらった。最後に、キャンピングカーを買う前も含めて、良いキャンピングカーライフを始めてくださいねと伝えて、やっと「ジル」に戻ることができた。
洗濯が終了するまでの時間で、先ずはデジカメで撮った写真データで一杯になったSDカードのデータをPCに取り込んだ。
次は昼食の準備だ。道の駅「蒜山(ひるぜん)高原(岡山県真庭市)」で買った「蒜山やきそば」は2食分入っていて、1食分はその日の夕食に食べたが、もう1食分が残っていたので、今度は豚肉とカット野菜を入れて作った。食後のコーヒーを飲み終わった時、洗濯後の乾燥が終了する時間になった。
コインランドリー内の大きなテーブルの上で畳んだ衣類をダイネットの収納棚に収めてから運転席に座った時、この先のルートをロードマップで調べることをすっかり忘れていたことに気付いた。
そのまま運転席で、ロードマップを開き、色々と考えたところ、次の二つの案になった。
ここまで走って来た山陰の幹線道路のR9は内陸に入り津和野を経由して山口に至り、その先の山陽の幹線道路のR2を西進すれば、関門海峡に面した下関にたどり着く。
もうひとつのルートは、日本海沿いにR191を走れば、山口県の海沿いの町や観光地を回ることができ、山口県の西側から北九州に掛けて広がる響灘(ひびきなだ)の景色を見ながら下関に至る。
熟慮した結果、R9で津和野まで走り、R315で北上して海岸線のR191を西に向かうことにした。これは一番欲張りなルートだが、ただ走りたい、見たい、訪れたいから選んだルートで、宿泊場所をどこにするとかは何も考えず、これこそ、「キャンピングカーの旅」なのだと、一般的な思考回路とは異なる考え方になっていることを改めて、そう感じた。
益田からのR9はJR山口線と並走していた。この路線は確か「SLやまぐち号(C57の1号機関車)」が走っているはずだ。「ジル」の車窓から線路が見える際は期待を込めて、SLの姿を探したが見掛けることはなかった。それはそのはずで、「SLやまぐち号」は山口線の起点の山陽本線の新山口駅から津和野駅までの運行だと後で知った。
後で知った興味深いことがもうひとつあった。R9が益田市街を抜けて山間に入るあたりに、今では珍しい「温かいうどんの自販機」が並ぶ小さな「自販機コーナー・オアシス」があるとのことだった。次回は立ち寄り、あるかどうか分からないが、「天ぷらうどん」を食べることに決めた。
山間の小さな盆地町の津和野を目指して走っている時、見えてきた道の駅「シルクウェイにちはら(島根県津和野町)」に、小休止のために立ち寄った。この道の駅の裏手は川では水遊びができそうで、カヌーなどを持ち込めば、いちにち遊べそうだ。
R9は津和野の街を迂回するように周囲の山の中を走るため、その手前の交差点で右に折れ、県道で街の方に下り、JR津和野駅に到着した。残念ながら、駅は改装中で全景は見えなかった。その横にはD51が鎮座していた。
駅通りから本町通り、そして殿町通りが、津和野の街のメインストリートのようで、そこを、後続のクルマが無かったので低速で走っていると、次第に観光客らしい人の数が多くなり、カフェやテラスが見えてきた。どこかにちょっと停めて、その通りの雰囲気を味わいたいと思ったが、無料のスペースを探しながら走っているうちに、街を南北に分ける津和野川に架かる津和野大橋に出てしまった。
その手前でUターンしてからは駐車することは諦め、津和野の街の車窓風景を見ながら津和野駅まで戻ってしまった。小さな町だ。
そこからは、往復したメインストリートと並行に走る県道を走り、津和野の南側の街も、その車窓風景を見ながら走り抜けた。
津和野の街の南の端に、道の駅「津和野温泉なごみの里(島根県津和野町)」が見えたが、そこも含めて、いつになるのか分からないが、妻との旅の際に、しっかりと津和野の観光スポットの全てを巡ることに決めて、県道からR315に入り、北上して日本海に向かうことにした。