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ニューワールド・ファンタズム

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「これを飲め」
師匠が取り出したハイ・ポーションを飲み干し、俺達は剣を握る。
「いくぞ!」
「応ッ!」
「ええ!」
「ハアッ!」
流水剣・第六秘剣?天叢雲剣?!
「イヤアアアアア!」
細剣十二連撃技《コスモ・ストライク》
「せあっ!」
神約八連撃スキル《メテオストライク》
「ハアアアアアアッ!」
片手剣七連撃技。《エクシオン》
「……っ」
まだだ、まだ速く……!
背中にある《アイアンブレード》の持ち手を握り、抜剣。
「グガアアアアアッ!」
「……せあああああっ!」
左の剣で大剣を弾き、連撃を繰り出す。右、左、右、左。
神の加護もない。ただの連撃は流星群のように輝き、加速し続ける。
その時、《アイアンブレード》が吹き飛ばされる。そして俺は………覚悟を決め、名を呼ぶ。
「……神威!」
俺の背中の空間が輝き、それは姿を現す。アイアンブレードの鞘が地面に落ち、入れ替わるように現れた刀を引き抜き、左手に握る。
「せあああああああああッ!―――――――?飛神?!」                      
神威で放つ?飛天?時空を切り裂き、その刃で押し出す。世界を斬る技。
今度の連撃は炎、闘気の全てを乗せ、更に詠唱省略の《ブーストアクセル》を発動。
二十連撃を超えるであろうその剣撃の後。《ナイトプレート》と神威を突き刺す。
ディオン、師匠、アリス、《マティリス・クラン》のみんなの声。
「「いけえええ!」」
「アルタイル!」
「アル!」
「……ぁぁあああああああ?」
 真相解放。武器の蓄積した思い、経験。性質を解放する。《ナイトプレート》は俺の暗い夜のような想いを。神威は英雄になりたいという俺の願いを。黒い光と黄金の光が螺旋に重なる。――――竜の力!魂を喰らえ、砕け、ブッ壊せ―――――――――――?
「……竜王の術――?竜牙旋喰(ドラグリープ・イーター)?!」
螺旋となった竜王の顎はボスの身体を内側から吹き飛ばした。
「うおおおおおおおおおおおお?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――get.



 後に聞いた話によるとマティリス・クランは元々部屋の前にいたらしい。俺はそれに気付かずに扉を開けたみたいだ。何度呼びかけても反応せず、ボロボロになった俺を見ていられなくなったということだ。
 俺は師匠、アリスに滅茶苦茶怒られた。ポーションを飲んだ後正座させられ、大体お前は、とか。無茶して、とか。まあ心配してくれたのだから、むしろ感謝だ。
そして冒険者ギルドに戻った俺達は歓声に包まれた。
活躍した俺達には新たな二つ名を名乗ることが許される。しかし俺が
「俺は今のままでいいです」
と告げたとき。みんなからどよめきが上がった。ホントにそのまま?とか、いいのか?とか色々言われたが、俺はもう少しこの名前を背負ってみることにする。因みにアリスは二つ名を《閃光》から《剣聖》に変更した。
 しかし俺達の前にもう一つの絶望。そして希望が現れる。
俺は買った家に帰り、ベッドに飛び込む。

                            黒き剣士




 ある日、酒場《羽の巨人亭》で朝食をとっていると。
「アル」
 俺に声をかけたのはアリス。なんか後ろに強そうな人たちがいるんだけど。
「アルタイル君」
アリスさんの後ろにいる騎士が俺の名前を呼ぶ。
「あなたは……」
その騎士が名乗る。
「私は《マティリス・クラン》の団長、《ディオン・クリンス》だ」
「あの時の…」
前に助けてもらった。《聖騎士》。
「で、そんな方が俺に何か用ですか」
俺の質問にディオンは笑みを浮かべて答える。
「単刀直入に言う、私のクランに入ってくれ」
\「え?」
最高峰のクランに俺が……?だが。
「誘ってもらって申し訳ないんですが……お断りします」
「……アル」
アリスは顔を曇らせる。俺は少し心がキツイが。
「何故かね?」
ディオンの問いに俺は笑って答える。
「人との関わりは疲れるんです。冒険者みたいに命をかけて戦う仕事で、大切な仲間や人をつくりたくないんです。傷付きたくないんです。もう、二度と」
《マティリス・クラン》の人達は何かを察したのか、言葉が出なくなる。
「……なら、自分の自由は、自分の剣でつかみたまえ」
「…は?」
「私、ディオン・クリンスは、貴殿、アルタイル・アリエルに決闘を申し込む」
宿の中で驚きの声が上がる。しかしクランメンバーは何も驚いている様子はなかった。アリスに関しては満面の笑みになっている。
「決闘は明日の午後二時、準備してくれたまえ」
「ちょっ」
立ち去るのを止められなかった。
「……どうしよう」
俺は剣を持ち、とある店に出掛けた。《ベリアス鍛冶屋》
「いらっしゃせー!」
扉を開けて店に入ると女性店主《べリアス》が出迎える。
「あら、アル……今日はどうしたの?」
「急いで装備がいる。用意できてるか?」
「……任せなさい」
ベリアスが裏から大きな木箱を持って来る。
「これが……注文の品よ」
その中には二本の剣が入っていた。一本の剣は《ナイトプレート》。
そしてもう一本は《アイアンブレード》。量産型の剣。
「あんた、ホントにあんな戦法を使うつもりなの?」
「ああ」
「そ……、あんたの戦略も分かるけど、戦いの中でそこまで頭回る?」
「何とかするさ」
「二刀流ねぇ……」
「加護の効果もなしに《新約》を破れるの?」
「……」
そう、この決闘で最も重要な要素、ユニークスキル《新約》。ディオンがこの街最強――。いや、冒険者最強を誇る理由。攻防一体の剣技。今まで決闘を全勝。しかも一撃も喰らっていないという。大盾とロングソードを自在に操る無敵の存在。そんな規格外には、《規格外》で立ち向かうしかない。店で武器を受け取り、近くの森で剣を振るう。二刀流十二連撃。大木に切りかかると、木に大きな切れ目が入った。
「…………いけそうだな」
圧倒的な防御力には圧倒的なスピードと火力をぶつける、そんな単純な発想から生まれた戦術。
ただ、これしかないんだ。…………全力を。
俺は徹夜で二刀流を練習。片手剣技も修練を積んだことで熟練度は七○○を超えた。
今まで使ったことのない技も習得して、準備完了。
決闘場に行くと大量の観客が待機していた。ディオンが戦うということで、一目見たいのだろう。俺が待機室で準備していると、アリスが中に入ってきた。
「アル」
「どうした?」
「こんな手段でアルをクランに入れることになるなんてね」
アリスは前々から俺を誘っていた。念願なのだろう。しかし俺も負けるわけにはいかない。切り札の二刀流を使うんだ。ディオンの守りを破れるのは、それしかないんだ。
「俺は負けません」
「…………団長が待ってる」
会場の中央にその男はいた。白髪に銀色の眼。鎧を身にまとった騎士は、大盾と長剣を手に黒き剣士を待っている。
「始めよう」
「ああ」
「《最終決着条件》で構わないかい?」
「構わない」
この条件はどちらかが気絶、もしくは戦闘不能になった場合に決着する。
俺は《ナイトプレート》を引き抜き相対する。周りからは《アイアンブレード》は予備の武器だと思われているはずだ。
(まずは片手剣で様子を見る…………)