小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ニューワールド・ファンタズム

INDEX|5ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

その言葉に少女は言葉を詰まらせる。
「…でもっ」
少女が言いかけた時、ゴーン、ゴーン、と鐘の音がする。そして少女がその音の意味を理解した時、顔から血の気が引く。
「……どうした?」
そしてその意味を答える。
「モンスターの襲撃……」
アルタイルは周囲を見渡す。
「抜け穴か!」
抜け穴とは、ダンジョンに空いた穴で、そこからモンスターが出現する。
ダンジョンは半径一○○?はある。この村も余裕で範囲内だ。
その時、村の反対側でズパーン!と爆音がして俺はそっちに走る。
俊敏度を最大限発動して全力疾走する。そこには巨大な獣武者と四人の冒険者が。
「加勢する!」
俺は剣を抜いて武者の前に入り
「ハアァァァァ!!!」
片手剣水平単発技《アインル》
一文字の光が残る。
「私たちが引き付ける!その間に攻撃を!」
遠距離単発弓技《ロンテス》
矢が武者に直撃して武者は弓使いを標的に定める。武者は大剣を肩に乗せるように構える。
大剣単発重突進技《シントー》
弓使いに急接して来た武者の攻撃をタンクが受け止める、が
「うわああぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁ!!」
タンクはそのまま吹き飛ばされる。
「なっ――」
俺は驚愕した。アリスの上位剣技を受けた時の俺でさえ、あそこまで飛ばなかった。
タンクはそのまま木に直撃して気絶してしまう。
「……っ」
単発上段突進技《スイード》
背中に直撃するが傷を与えた程。
「連携技行けるか!」
俺の問いに二人の盾持ち剣士がおう、と答える。
片手剣垂直技《リンター》
両手剣水平技との連携。
二種類の技三撃が直撃して、武者がよろめく。この隙を逃さないように俺はスキルを発動する。
片手単発突進技《ソニックシュート》。
武者の右横腹を抉る。すると武者が全身に力を込めていた。俺はそれに気付き、防御態勢に入る。一瞬のタメのあと武者はその大剣を全力で突き出してきた。
「……っ!」
片手剣反撃技《アンタル》
足、腰、肩、腕、剣を連動させ、固定することでその重量を弾く。しかし余りに重く俺の右手が痺れてしまう。
「ぐ……っ」
無理矢理手を握りしめて構える。そして俺は驚愕した。武者の口の中から炎系虫モンスターの《フリント》が這い出てきた。あれは全身から炎を吹き出す害虫。
あの虫が炎を吹き出した先は武者の大剣。剣に炎を纏わせ、片手で構える。それを振り払うと炎という形を持った斬撃が俺たちに押し寄せてくる。俺達は体制を低くして回避するが、俺達の後ろにあった森が燃えてしまう。あの美しい森を傷つけた奴に対する怒りを剣に込めて俺は俊敏度を全開にして接近、すぐさま連撃を叩き込む。
片手剣四連撃技《エクシア》。
《エクシア》は武者の巨躯にヒットする。そして俺は後ろに回り込み、右膝の裏を斬りつける。俺の想定通り武者は膝を付く。このチャンスは逃さない。
片手剣水平六連撃集中技《パーティクル・リンク》。
通常の六連撃技の《パーティクル》の派生技。
連撃で一点を攻撃。胴体に隙が生まれる。これが狙いだ。片手剣二連撃技《スラット・リン
ク》で胴体を掻っ捌く。武者は呻き声一つ上げずに死んだ。そこには炎に侵略された森と、武者の魔石だけが残った。
私、刀の一族の生き残り《シーナ・アインハルト》は森で戦いを見ていた。そして《彼》を見た。黒き剣を振るう黒髪黒目の少年。四つのスキルを発動してとどめを刺した瞬間、彼の軽装備な灰色のコートが黒いロングコートに変化してすぐに戻った。それを表すなら、黒き剣士。
私は事後の報告書の最後に《黒き剣士》の名前を書いた《アルタイル・アリエル》。


 次の日、ダンジョンから帰った後。
「よっと……」
いつもお世話になっている宿の部屋に戻りベッドに座る。
「修行に行くか」
ダンジョンの後には修行。これが一日のルーティンになっている。
外壁の外で素振り千本。型の調整。
「おい、貴様!」
誰かに声を掛けられる。そいつは白銀の鎧を身に纏った騎士。そして胸には薔薇のエンブレム。
「《ロゼラリア・クラン》の団員が何の用だ」
「我らが主神、ロゼラリア様がお呼びだ。一緒に来てもらおう」
「……ふぅん」
「貴様!何故剣を振り続けている!早く来んか!」
「断る」
「なっ……クソ。どうやら力ずくで連れていくしかないらしいな!」
その男は腰の剣を引き抜く。俺はため息をつきながらナイト・プレートを鞘になおして地面に置いていた量産型の片手剣を手に取り剣を騎士に向ける。
「貴様、その武器はどういうつもりだ!」
「どうもこうも、あんたにあの剣を使うのはもったいなくてな。今はこれしか無いから」
「この……主に会わせる前にその口、切り裂いてやるわ!」
そう言って男は冒険者カードを取り出し、それをタップする。俺のカードは『クラデオルに決闘を申し込まれました。承認しますか?』と空中に映し出した。ため息をつきながら、それのOKボタンをタップ。そして条件は『一撃決着条件』。一つの技で全てを決める。
空中に十秒のカウントダウンが表示される。お互いに剣を構え、集中。
3、2、1、GO!
俺は一瞬早く走り出し、剣技を発動させる。クラデオルは両手剣上位単発重突進技《ギガゲイン》を発動。互いに間合いに入った瞬間。剣はぶつかる。キィン!とぶつかった二本の剣。そして、クラデオルの剣は二つに折れ、先端は地面に刺さる。
 単発突進技――《ソニックスラスト》
俺は剣を鞘に収め、
「あんたの主神に伝えておきな。俺は……?アンタ等に嫌われている?ってな」
 騎士は膝を付いたまま黙っている。俺はその場を去った。
そしてその決闘を見ていた者がいた。
「アリオス様、彼は一体何ですか?主神の加護もなく、レベルアップすらしていないのにあ
の強さ……」
それに神が答える。
「う〜ん……彼は特別なんだ。その特別さに俺達、神も恐れている。それに……彼の魂を気に入っている爺さん婆さんがいるからなあ……」
(けど、ロゼラリアがあの子を求めているということは………彼が……)
「運命ってのは不思議だ……神ですらわからないものが突如現れる」
「ま、見てれば面白いと思うよ」



 ダンジョンの中、俺は紫色の液体――回復ポーションを飲み、傷を治す。
「……帰るか」
ポーションを使いながら一対一の戦いを続ける。これがソロで最も効率の良い戦い方だ。
功績、というか実力が認められた俺は最前線の下層に潜ることが許され、今いるのは七十六層。本当の死地といえる。
「きゃあああああ?」
(なんだ?)
声の下に走るとそこには八人ほどのパーティーが。その中にいる女性。その子がスケルトンに襲われていた。
(……っ)
俺は躊躇った。ここで助けてどうなるかを考えてしまった。だけど、俺は何の為に冒険者になった。英雄になる為だ。
「ハァッ!」
スケルトンの頭、胸、股にかけて真っ二つにする。周りにいる他の個体は三十秒程で仕留めた。
「無事か?」
「あ、ありがとうございます!」
「助かった……」
「本当にありがとう」
「君は……」
「俺は、アルタイル・アリエル」
彼らは《クラリン・クラン》の団員らしい。数はこれだけのようでかなり小規模。しかしこの階層に潜ってこられるだけの実力はあるみたいただな。
「アルタイル……どこかで聞いたような……」