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ニューワールド・ファンタズム

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「それではこのカードに闘気、もしくは魔力を通して下さい」
俺は闘気を通す。そしてそのカードに文字が刻まれていく。
「うおっ……」
「登録完了です。あちらの掲示板に依頼が貼ってあります。ダンジョンに潜られる場合はダン
ジョン入口の係員にカードを見せていただければ大丈夫です」
「ありがとうございました!」
僕は早速ダンジョンに入ってみた。
「暗いな……」
「ガウッ!」
現れたのはシルバーウルフ五匹。二十七層のモンスター。
「修行の成果を試してみるか!」
神威は宿に置いてきたので、武器屋で買った黒い片手剣《ナイトプレート》を引き抜く。
「ふ〜っ」
呼吸で落ち着き、足に力を込める。《アクセル》。素早く接近する。そして、
「せあっ!」
片手剣上段斜め斬り《スラスト》。《剣技》。神が人間全員に与えた力。特定動作のブースト。
「まずは一体、次!」
今度は突進しながらの左薙ぎ。片手剣水平斬り《リオ・イクス》。一気に三体を吹き飛ばし、
残り一体。この個体は……。
「リーダー個体………」
それは群れの中で一番強い個体。これは……一撃では倒せそうにない。
(それなら)
剣を右後ろに構え、腰を少し低くする。
「ガウッ!ガアアッ!」
「ハアッ!」
向かってくる狼の胸に一撃、一回転し首の後ろに一撃、左側面に一撃、そして最後にジャンプしたウルフの下に入り、掻っ捌く。計四連撃の剣技《エクシア》。
「ふぅ……」
パチパチパチ……誰かが手を叩いている。
「誰?」
そこには水色長髪の男?女?が立っていた。
「いやぁ、いいもの見せてもらったよ。新人にも希望はあるもんだなぁ」
「あなたは?」
「俺?俺はアース。《マティリス・クラン》の剣士さ」
「マティリス・クラン……」
この街でも有数の、最高峰クランの一つ。その剣士はこんなことを言い出した。
「俺の弟子にならないか?」
「えっ?」
「君、中々見どころがある。Lv1にしてはなかなかの動きだったよ」
「はあ…………」
「それで、君に損はさせない。俺の《流水剣》を教えよう」
「流水剣?」
「ちょっと打ち込んでみ」
「分かりました。セアッ!」
「よっと」
僕の剣は簡単に受け流された。かなり強めに振ったのに。
「これが流水剣。受け流し、反撃する。カウンターに最も効果を発揮する剣術さ」
(凄い。あんな無防備な状況から剣を抜き、間に合わせた……。それにあの剣筋、ゆっくりだった)
「ご指導、よろしくお願いします!」
「うむ」
それから指導が始まった。流水剣の基本。緩急を付け相手を翻弄させ、神速の斬撃を叩き込む。
流水剣に合う剣技もいくつか教えてもらった。
「この剣を見ておいてくれ」
 腰に剣を納めた状態から引き抜き、岩を斬った。――反応できる気がしない。
「今のは?」
「抜刀術。本来は刀でやるものなんだけど」
――――神威でなら――。
「お前はどこのクランに入る予定なんだ?」
「まだ決めてません」
「それならうちの試験を受けてみろ。登録はしといてやる」
「いつですか?」
「明日だ」

 俺はマティリス・クランの前に立っていた。
「でか……」
本拠地が大きすぎる。ここの試験を受けるのか。
中に入るとすぐに説明がされた。試験の内容は試験官相手に一本をとれば合格。ルールは決闘方式。いわゆるデュエル。
「あなたは一番最後です」
三十六人の最後。時間がかかるな。と思っていたその矢先。
「始め!」
最初の試験が始まる。受験者は鎧を装備した騎士。そして相手は《閃光》、《アリス・フリューレ》。それは一瞬だった。そのレイピアの先端は、騎士の顔数センチで止まっていた。
「勝負あり!失格!」
騎士はトボトボと去っていく。他には格闘家、魔法使い、戦士、弓使い等々の新人が全員失格となった。そして僕の番。
「お願いします!」
「うん」
「始め!」
さっきまでの人達と同じ様に、その細剣は顔の前に接近する。しかし
「?」
片手剣反撃技《リバーサル》。爆音と共に剣を弾く。
「防いだ?」
咄嗟の反応で防御が間に合った。そして僕は剣を緩めに下段に構える。女剣士は中段に構える。
「アアッ!」
「セイッ!」
その剣撃はぶつかり、お互いに弾かれる。僕は《エクシア》の構えを取る。そして駆け出す。
空中に飛び上がり、エクシアではなく、上段垂直斬りを発動。《グランツ》。
「……」
バックステップで躱された。
「誰かに似てると思ったらアースの剣筋にそっくり」
「まあ、教えてもらいましたから」
「やっぱり。それなら少し本気でいくよ」
黄金の髪が揺らぎ、青い瞳が一層光を強める。彼女は突進技を放ってきた。そして僕は受け止めきれずに吹っ飛ぶ。何とか剣を地面に突き刺して体制を整える。
「くっ……」
「―――――諦めたら?」
 彼女の何気ない一言。僕の中に何かが走る。
僕は昔から冒険者になりたかった。父と祖父の冒険譚の読み聞かせ。
 そして俺は……英雄に憧れた。諦めてたまるか。――これは、俺の物語だ。
「う…………おおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ?」
身体から闘気が吹き荒れる。?闘気覚醒?《生命解放・限界突破》。
「なに……この圧――」
「来い……?神威?!」
ソニックブームを起こしながら扉を通り、廊下を通り、それは俺の前に現れた。
「弱者が覚悟を決めたのだ………強者に敗れる筋合いはない…………行くぞ、第二ラウンドだ」
炎を発動した状態で神威を引き抜く。赤炎を纏い、更に闘気を練る。
「――――――――?飛剣纏い?」
刀から溢れ出る炎を刃に集め、そのまま剣技を発動。炎の内側で刀身が水色に輝く。
「う、らあッ!」
片手四連撃《エクシア》。刀の利点は三つ。速さと切れ味、そして《両手剣技と片手剣技の二つを使用可能》。エクシアを弾かれ、一瞬の硬直の後、俺は両手単発切り上げ《リンクス》を発動。左下から右上に向かって切り上げる。
「セアッ!」
刀の特徴は、その切れ味!
「セアアアアアアッ!」
熱で脆くなった量産品の細剣を叩き切り、首に刃を突き付ける。
「勝負あり!勝者、アルタイル・アリエル!」
「……あれ?」
 緊張の糸が切れた俺は、地面に倒れてしまった。
 これは……夢?
 女性に手を引かれて森を歩く……貴方は――――――――!
「……ここは……」
「目が覚めたか」
「アースさん……」
「立てるか?」
「はい……」
「行くぞ」
「……どこに……?」
「主神のところへ」
 部屋に入るとそこには女剣士、審判二人、そして主神《マティリス》。
「来たか。……単刀直入に聞こう。アルタイル・アリエル、君は何者だ」
「質問の意味が分かりません」
「それでは質問を変えよう。君の炎は一体なんだ?」
「それはこの刀の能力ですけど……」
「そうか。それでは結果を発表しよう。不合格だ」
「そうですか」
「失礼しました」
俺はその部屋を出て、本拠地を出る。その後の部屋では。
「アイナ、彼のステータスは見れたか」
「ああ、見えた」
アイナと呼ばれた審判の女性。
「彼のスキルは三つ。《剣技》。《闘気》。……そして、《英雄の炎(リオネルフレイム)》」
「まずは彼の闘気だが、あの威圧感だな」
「うん、気圧されるところだった」
アリスがコクッ、と頷く。
「そしてその総量は想像もつかない。」