ニューワールド・ファンタズム
『君が全を選ぶなら、俺は全を捨てよう。一を守るために。その一が君ではなく、世界の破滅だとしても、俺はこの手でやれることをしよう。全を助けることなど、出来ないことは解っている。ただ俺は君ではないかもしれない誰かを守る。君に否定されても、この世界に否定されようとも、全てに否定されても。弱者が覚悟を決めたのだ、強者に敗れる筋合いは無い。俺という剣が折れようとも、この世界には剣が満ちている。剣を学び、人生を学んだ。それでも俺は弱い、生命を断ち、剣を握って進むのがいつかは解らない。ただし俺という一はこの世界の全を借り受ける。それが弱者の戦いだと信じて、進み続ける。?ソード・オア・ザ・ソウル?そこにあるのは、剣か魂か!』
?心象転写?
?ソード・オア・ザ・ソウル?
アルタイルの領域が消え去り、新たな領域が広がった。暗い夜に黄金の光が散る。
「「ファースト・レディ」」
「?黄金剣?」
「?天の鎖?」
「「ファイア」」
黄金の大剣と数多の鎖が女神に向かった。それは女神を拘束し、剣が腹を貫いた。
「がはっ……くっ――ハアアアアアア!」
女神は身体を変えて、醜い姿へと変身した。
「女神などではなく、ただの怪物だな。」
「「セカンド・レディ」」
「「エア・マキシマ」」
「「?ワールド・オブ・ザ・ブレイク?」」
「「ファイア」」
女神はボロボロの姿へと――。
「女神は――死なない――!」
「試してみるか?」
そう言ってギルガメシュは両手に剣を持つ。
二刀流最上位剣技《ザ・プロメテウス》――二十五連撃。世界最強の必殺技。
「《二刀流》は王の証。両の手で数多の武器を操る?才能?だ。」
「このっ――」
女神が避けられない程の斬撃を叩き込み続ける。エイルの眼には残像が見えたほど。
速すぎる――。
「?百花繚乱?!」
スキルが終わった後でも、硬直もなしに動き続けている。
「?ブーストアクセル??ソニックアクセル?――。武技?奈落?!」
女神が隙を見て放った光球も突如現れた円盾で防ぎ、剣で追い打ちをかける。
「何なの、剣が消えたり、盾が出たり――!」
「王は全てを統べる者なり――」
「死ね!死ね!死ねええええええ?」
怪物から放たれる光線を弾き、炎の斬撃を放つ。
「この身体は面白い事を考えるな……使わせてもらうぞ。?英雄憑依?ギルガメッシュ!」
剣が加速し、空間を熱する。星屑のように輝き、切り裂くものは進む。
「おお、動きやすい!まさか我自身を模倣することになろうとはな!」
「武技?双撃??」
同時に上段から振り下ろし――。
「神威よ、しばらくぶりだな。」
刀を手に、抜刀術の構えを取る。
「かつて、人間の剣聖がつくった最速の剣術……それが、鞘の中で刃を加速させる刀の奥義、?抜刀術?そしてその中でも古代、世界に認められた技……見せてやろう」
――銀河天文流――。
怪物の光線が迫ってくる――。
「……………………セアッッ!」
?奥義?
爆音、ソニックブームを引きながら王の刃は怪物に接近する。
「グッ……」
怪物によって刃が止まる――が。
「ハ、ァァアアアアアア?」
刃が止まっても、進み続ける。それにより、刃が喰い込む。
――――止まるな――――。
「うおおおおおお?」
そのまま、怪物の首を斬り飛ばした。神速を超えた一閃。
?王牙天翔?
「ガハッ……………」
「トドメは刺さん。それはこやつの役目だ。だが、トドメを刺せるぐらいには弱らせておく」
「嫌………嫌!」
女神に戻った女を見下ろしながら、亜空間から一本の剣を取り出す。
「これはあらゆる種族の英知と技術が集まって出来た始まりの剣だ。―――――?解放宣言?」
《オリジン・オブ・ソード》
始まりの剣は、全てを斬れるほど大きくなった。そしてそれを天に向け――――――
?気?を宿した超巨大な斬撃を放つ。
「星を両断する聖剣、?神を絶つは我が命の閃き?(ゴッドエンド・ジ・アース)!」
世界を断つ、王の斬撃。それは、偽女の身体を切り裂いた。
「……………………今だ」光を天空に放つ。
「合図!」
アースは王の合図を見て、?草薙の剣?を地面に突き刺す――。
「?解?!」
?草薙の剣?の能力――それは、あらかじめ叩き込んでおいた攻撃を、好きなタイミングで炸裂させる――。アースは機体の弾丸や、アルタイル達の剣に闘気を仕込んでいた。
今までの攻撃を同時に炸裂――。
「ブッ飛べぇえええ?」
そしてそれを皮切りに、皆が攻撃を打ち込む。
「?星砕きの流星群?・?超新星?(ノヴァ)!」
『総員掃射!』
「流水剣第三秘剣・抜刀術――」
鞘の中で闘気を加速させる――。
「?修羅・抜刀?!」
練り上げられた闘気が放たれる。全てが混ざり合い、女を襲う――。
「キャあああああああ?」
「後は貴様だ。我が未来よ」
俺は、過去の記憶を見ていた。祖父の言葉を。
―――泣いてもいい。負けてもいい。ただ立ち止まるな。明日たくさん笑えるように、何度でも立ち上がれ!進み続けろ、魂が燃え尽きるその時まで――
父の言葉を。
―――誰かのために戦えるようになれ、友も仲間も、必ず共に進んでくれる……。そして知らない人でも、困っている人がいたら迷わず助けるんだ。そうすればいつか、困ったときに助けてもらえるはずだ。皆がお前を助けたいと思えるように――
母の言葉を。
―――弱くても諦めたらいけないの。諦めずに生きていたら死なない限り挑める。何度も何度も。ただ、がむしゃらに挑んでみて、そうすればこの世界に『有り得ない』を起こせるの――。
―――進んだ者を、
―――そう思わせられる者を、
―――『有り得ない』を現実に出来た人を、人は―――
―――英雄と呼ぶ。
「……………………!」
目を閉じ、もう一度開いたとき、髪は黒く、眼は蒼に染まる――。
「銀河天文流――。?龍撃閃?!」
刀の四連撃。そして
「闘拳・?重撃?!」
闘気を使った格闘術。その基本技。踏み込みの力を拳に直接伝え、そこに闘気を乗せる。
拳が触れた瞬間、そこから放出する闘気。そしてそこに炎を上乗せした――。
「?重撃・改?!」
心臓に打ち込んだ一撃。後ろに飛んだ女に追い打ちをかける。
神威を地面に突き刺してベールリオン、ナイトプレートを手に取る。
「終わりだあああああ?」
「こっちも忘れるなよ!」
巨大な大剣の殺神剣。
「?奪命?(ヴォーパル)?」
心臓を穿つ刺突。
(何故だろう、今、身体の使い方が分かった)
「………ぁぁぁあああああああ?」
二刀流上位剣技《スターマーク・リオネル》。連続十四回攻撃――。
流れ星のような軌跡を描き、幾重もの斬撃を重ねる。
左右の剣を神速で振るい、女神を刻む。その時、女の記憶が流れ込んできた。
昔、この国が戦争に巻き込まれたとき、多くの女性が旅立つ男性に言った言葉――。
『あなたは私のものなんだから、死んだら許さないから。生きて帰ってきて、私の為に生きて』
そしてその後、夫、弟、兄、彼氏の死を聞いた時の悲しみが、『愛』と『戦争』の女神に降り注いだ。それが、暴走の原因である。
「悲しかったな…………今、楽にしてやる…………ぁぁああああああ?」
十三連撃目の左刺突。心臓を貫いた。
「まだ、まだ終われないのよ……!」
「?」
作品名:ニューワールド・ファンタズム 作家名:川原結城