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ニューワールド・ファンタズム

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「ロゼラリアぁああ!何をしたぁああああああ!」
「何って、私の奴隷にしてあげただけよ。……さあ、行きなさい。終わったらたっぷり可愛がってあげるからね」
「……」
ハンドガンの引き金を引き続け、俺達に死を送る。
その姿は勇者などではなく、死神のそれだった。
「エイルやめろお!」
「目を覚ませえええ?」
レング達の声も聞こえない。
しかし一瞬、エイルの動きが硬直する。
その頃エイルの精神世界では………。
―――ここは―――暗い――。
―――誰か――。
暗い世界の中。しかし小さな亀裂。そこからこぼれ落ちる一滴の記憶。
九年前。
「お父様!」
「おお、エイルよ……」
そこにはエイルとアーサー。モルドレッド。ジェニファー。そして母、モーガン。
「よいか、エイルよ。お主はこの国の正統後継者として民を導く運命を背負っている。それを努、忘れるでないぞ」
―――アーサー―――?
次の記憶。
「逃げて……アーサー……………………!」
母がアーサーに銃を向ける。しかしアーサーは―――――
「受け止めよう」
「アーサー!」
弾丸がアーサーの心臓を貫く。これがあの記憶。
俺は―――誰だ―――俺は―――
「エイル・ローグ・ペンドラゴン……それがこの子の名前だ」
―――俺は。
 王だ。
「う……………」
「何…………?」
エイルの体に赤黒い稲妻が走る。
「エイル!」
「戻ってこい!」
「《ブレイバー》!」
「うおおおおおおお!」
身体が動く。エイルの意思で。
赤黒い稲妻の正体はエイルの闘気。それが覚醒した英雄の血族と空間のエーテル(ブリタニアが発見したこの世界に漂う力の根源)の組み合わせにより体外で暴走していた。しかし今は自身の手足のように動かせる。
「?根源変異??怪物?」
「俺はアーサー・ペンドラゴンの息子……エイル・ローグ・ペンドラゴン……この国の王だ!」
エイルの腰の後ろに血液が流れ込み、体外で触手の形になる。
「あれはまるで…………《喰人》……?」
「ロゼラリア……お前のおかげで俺の体の使い方がよくわかった……!」
「……………………そう」
「面白い奴隷だったのに……残念」
ロゼラリアの背後に現れた無数の光球。そしてそれから放たれる裁き。
「さようなら」
一本に集まった強力なレーザー。
それに対し、エイルは腰の四本の触手を向ける。
「ふーっ……」
アーサー………いや、父さん。力を貸してくれ。
(もう父さんはいない……。これからは、俺自身の力で!)
そう、アーサーはロゼラリアの支配により危険分子として消されてしまった。
「はあああああ?」
触手でレーザーを受け止め、触手を消して全速力で駆け出す。
(イメージしろ!自身の肉体を変えられたんだ、世界を変えることぐらい……それに、手本ならもう見た!)
「くっ……うぉああああ!」
血液をエーテルと同化。それを形作っていく。
(俺の殺意と、恨み、憎しみ……そして、希望を形に!)
未来を切り開く、希望の光。
「奪命(ヴォーパル)!」
禍々しい片刃の短剣。この国の、復讐の結晶。そして、魔剣と聖剣の二面性を持つ。
「ウオオオオオ?」
それを右手に、女神の懐に迫る。レーザーを叩き落とし、普段以上のスピードで駆け抜ける。それはまるで、七十六階層ボスを討伐した時の、アルタイル・アリエルのように。
「なんて速さ……」
短剣を逆手に持ち、勢いのまま突き刺す。その一撃は女神の皮膚を切り裂き、一滴の血液が地面に落ちる。
「私の体に傷を……」
レーザーを躱しながら斬り続ける。
「ハアアアアアア?」
逆手のまま渾身の一撃を叩き込んだ。
?奪命?!(ヴォーパル)
その斬撃は女神の喉を掻っ切る。
女神はすぐさま再生し距離をとった。
「再生できるのかよ……!」
『エイル!お届け物だぜ!』
声の方を向くと、大型トラックがとある機体を運んできていた。
「《アウェイキング》……?」
『おうよ!ZXPS-X001《アウェイキングセイバー》、整備バッチリだ!』
エイルが二年前に一度だけ搭乗した機体。
エースパイロット用に開発された特別機。最強のパイロットが最強の機体に乗ることをコンセプトに開発されたため、一般兵が乗ると衝撃に耐えられず、命にかかわる危険な機体。
ブリタニア王国の《戦闘機》のシステムは、人間の脳を《演算処理装置》として扱うという非人道的なものだが、このアウェイキングの情報量は常人なら一度乗っただけで廃人になる。
しかし機体性能は機動性、防御力、火力の全てで《セルウス》を大きく上回っている。
『起動完了』
『神経接続システム《加具土命》感度良好。』
「エイル・ローグ・ペンドラゴン、《アウェイキング》、出る!」
鬼神は大きな大剣を手に駆け出す。
「《セイバー》……使ってやる……だから、女神を殺す力を寄こせ!」
 エイルの神経に力が流れ込んでくる。そしてエイル自身の力が、内側から弾けた。 
 エイルの瞳が青く発光する。
「俺も行くぞ!」
俺もナイトプレートと神威を握って近くに寄る。
俺達は同時に走り出し、女神を追いかける。
「はあああああ!」
二刀流……。
「《双竜牙突撃》(ダブルドラグストライカー)!」
両手の剣で突進技を放つ。
炎術?炎雷ノ刃?
神威を炎で覆い、強化する。
『うおおおおお!!』
鬼神が太刀を振り下ろす。それらが同時に炸裂し、確かなダメージを与えた。
「合わせろ!」
?炎術?
?雷術?
?炎雷?(ファイアボルト)!
英雄の炎と英雄の雷が融合し、膨大な力を生む。
片手剣四連撃技《エクシア》
エイルは機体に雷を纏わせ、磁力などで動きを速くする。
「とっておきも使ってやるよ!」
?エクシードチャージ?片手剣水平剣技《リオ・イクス》
ライトベールが強く輝き、倍速で攻撃が始まる。
「せあっ!」
一撃一撃が女神に食い込む。
『……エクストラバースト!』
赤い光が機体から漏れ出る。《アウェイキングセイバー》の最大稼働状態。動力源の内部機関
から《エーテル》を最大放出。
「吹っ飛べえええええ!」
「クソ女神!」
「?奪命?!」
?エクシードチャージ?
片手剣突進刺突技《ヴォーパル・ブレイク》
スキルを二回分発動する技?エクシードチャージ?偶然見つけた秘技。
「?ファイアブレイズ?!」
数多の炎の剣が女神に殺到する――。
「もうそれには飽きたわよ」
一瞬でかき消された。
「チッ!」
投げナイフを投げながら距離を取る。
「エイル、機体はあと何分持つ!」
『あと三十分!』
「オーケー!」
(けどどうする――。このままじゃ――。)
『変われ』
「?」
 ――意識が――遠く――。
「―――アルタイル?」
「ここまでの戦、大儀であった。」
「え?」
「我が必ず大きなダメージを与える。その間にこやつと貴様で奴を仕留めろ。」
「アルタイル、何言って――。」
その時、アルタイルの髪が黄金になり、眼が赤く輝いた。
「――ギルガメッシュ」
「エンキドゥ。いるか?」
「いるよ」
あの時の、黒髪の女性――。
「力を貸せ」
「喜んで」