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ニューワールド・ファンタズム

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 今、運命が進み始める。モンスターを押し返し始めたその時、後ろから大きな影が現れる。それは……あの武者が子供のように思えてくる巨人だった。
俺はクリスハイトと名乗る男に切りかかる。
(巨人の方に行きたいのに、こいつ)
魔眼持ちか。能力は……。
「ハッ!」
奴の眼が金色に光り、黒いひし形の模様が四つ入った様な眼になる。
「ソードフェイク・サード」
男の手元に剣が三本現れ、こっちに向かってくる。
「せやっ!」
俺は二刀流を使い、それを叩き落す。こいつの能力は《剣を生み出し、それを操る能力》だろう。
「へえ、僕の《擬剣眼》をここまで防いだのは君が初めてだよ。いや、一人いたか。けどこれならどうかな?」
「ソードフェイク・フィフス」
五本の剣がこっちに来る。同時には防げないので、回避しながら叩き落す。
(大体分かってきた)
こいつが生み出せる剣はおそらく《見たことのある剣》のみ。そして剣には追尾性能があるが、叩き落せば操作不能。
「うーん、流石にこれ程とは予想してなかったなあ」
「ソードフェイク・ハンドレット」
「は?」
今度は百本。
「せっ、ふっ、てやああ!ハアア!」
防ぎきれない!
「下がってな」
「…………えっ」
俺の前に現れたのは、狐の仮面を着けた男。
「……」
その男の眼は、アインハルトと逆の色をした魔眼だった。
「セイバー・オン」
同じく百本の剣が百の殺意を弾いた。アインハルトは呆れたように
「やはりゼオン、君の《剣滅眼》は」
「「セイバー・オン」」
「近接の方が良さそうだ」
「俺もそうする」
アインハルトはサーベルを。ゼオンと呼ばれる者は片刃曲刀を握り、接近する。
「ふんっ!」
「せいっ!」
キン、と音がした後、またその音が鳴る。連撃同士の衝突。しかしそれは言うなら……。
凡人の剣。才能のない普通の剣筋。努力の結晶。
「「セイバー・オン!」」
手持ちの剣が壊れるとほぼ同時に剣を複製する。……何故だろう。手が出せない。この二人自身がやらなければいけない戦いな気がしてならないんだ。見守るしかないのか…………?
「セイバー・オン、対の剣《アンティス》」
「セイバー・オン、指揮剣《リードカリバー》」
「「エッセンスト・リバレーション!」」
「なっ……」
真相解放……
「リード・オブ・セイバー!」
「カウンターセイバー・セット」
「ファイア!」
高く飛んだアインハルトの後ろから数え切れない剣が絶え間なく降り注ぐ。それに対しゼオンは手に持った黄金の剣を構える。
「ストライクカウンター」
最初の一本を弾くと、他の剣が塵となって消えてしまった。――黄金の剣も。
「…………アンティス、代償の反撃か……」
「ご名答」
「セイバー・オン!」
また片刃曲刀を作り出す。
「せやっ!」
そこにサーベルの一撃。曲刀で防ぐ。
「油断しちゃダメだよ!」
「そっちこそ」
「リードカリバー・エクステンション!」
アインハルトのサーベルが伸びて、刺突。
「破ッ!」
曲刀でサーベルを地面に叩き付け、てこのようにアインハルトが吹っ飛ぶ。
「うわっ?」
ゼオンは追い打ちをかけるように
「同時展開(セイバー・セット)」
片刃曲刀を両肩、両腰に一本ずつ複製する。
四本を発射し、アインハルトの気を逸らす。そして高く跳躍し、アインハルトの懐に接近する。
「これは……やばいね」
「遅い」
「?菊斬六連?」
手に持った剣で上段斬り、そして下段からの切り上げ。ザン、と切り裂いた音で倒れたのは先程俺が気絶させた偽騎士だった。その男は腹に二連撃を浴びたことにより絶命。
「なっ……」
おそらく地面から剣で運んだのだろう。そしてもう一本の剣にはセナ。するとアインハルトは
「ちょっと分が悪いね。細工も済んだし、撤退!」
剣を掴むと浮かび上がり、立ち去ってしまう。
「逃がすか!」
ゼオンも同じく飛び去る。
「一体何だったんだ。そうだ、巨人は!」
外を見るとまだ巨人が暴れている。俺は巨人の元に走った。
「せやっ!」
二刀流状態ではスキルが使えない。隙を見せない限り、二刀流の単純火力で討伐するしかない。
…………これが、アインハルトが言った「細工」。巨人が片刃の大剣を持ち、振り上げる。
知能のない巨人が大剣を振れるはずがない。振れるまで調教したのだろう。
「グオオオオオオ!!!」
バックステップで回避するが、風が吹き荒れる。
「こんの……セァアアアアアア!!」
十六連撃を放つが、傷は付かない。硬すぎる。ありがたいことに住人はみんな避難しているようだ。全身全霊でこいつを、倒す!
「頼む。力を貸してくれ!」
俺は二本の剣を見つめる。必ず剣は答えてくれる筈だ。
(行くぞ!)
「せ、あああああ!」
二十連撃。ライトベールも纏っていない、ただの斬撃。しかし俺の魂、いや、《俺達》の魂が乗ったその剣はあまりの速さにライトベールの残像のように光を残す。右、左、右、左、右。交互に振り、同時に振り、突き刺す。脳が焼き切れるかのように、ただ剣を振るう。
巨人の剣を弾き、回避。斬撃。
「お、おおおおおお!!!」
「グルアアアアア!」
三本の剣が衝突し、お互いに吹っ飛ぶ。俺の筋力パラメータでは本来、大剣を弾き返すことなど不可能。俺は今、限界を超えるとともに成長している。
「ガッ!」
巨人は大剣を両手で振り下ろす。
 俺はゼオンの戦い方を思い出す。奴の動きを二刀流でトレースする。
「せあっ!」
バックステップで避けた後、巨人の大剣を二刀の剣で地面に叩き付ける。流石に浮き上がったりしないが、奴の体が一瞬硬直する。俺は駆け出し、大剣を走り抜ける。腕を斬り、胸を斬り、首に二刀流同時単発技とでも言うべきものを繰り出す。俺は剣が触れた瞬間に雄叫びを上げた。
「ウ、オ、オオオオオ!!」
「グガアアアアア!!!」
巨人は最後の方向を上げ、死んでいった。
「ハア、ハア……」
俺は慣れた動作で二本の剣を払い、背中の鞘に納める。周囲を見渡しても誰もいない。逃げ切ったのだろうか。カインは救助に間に合ったのか。
「……っ」
俺は《ナイトプレート》を引き抜き、走り出す。
「え?」
ドームを出て、俺を待っていたのは。
「アリス!」
「アル!探したんだよ!中で何が……」
「実は」
俺は全てを説明した。セナに呪いがかけられたこと。アインハルトと名乗る犯罪者クランのトップ。それに敵対するゼオン。その最中セナが攫われたこと。
「なんてこと……」
「会議を行う。来てくれ」
ディオンに案内されたのは元、冒険者ギルドアースリア支部。半壊状態だがまだ使えるそうだ。
「役割分担しよう。私、アリス、アルタイル君の三名で《天使》の奪還を行う。リーフィアは一番隊《攻撃特化部隊》を率いてその援護。五番隊《守備部隊》はアースリアの警護」
「了解!」
「分かった」
「早速動こう。そうだ。ギルドマスター。依頼主の情報を洗ってくれ」
「あー、はいはい。任せてよ。俺にはそれしかできそうにないからね」
「頼む」
「各自、配置につけ」
俺は今、《索敵》スキルを発動しセナの捜索にあたっている。
「見つけた!」
「どこだ」
「西門近くの一軒家。なんだ、こいつ……」
「どうした?」
「何かがいる……モンスターか……?」
「仕方ない、行こう」