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居なくなった人たち

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その7


三十代は子供の成長を見守りながら私は塾をし、貯金が溜まると借家を建てるという上昇気運の数年が過ぎて行った。
夫は仕事帰りには碁会所に寄り帰宅は子供を寝かしつけてからだった。
子供たちは日常的に父性の影響を受けず、私の不機嫌な子育ての中で育って行った。

次女は小学校高学年になって登校を渋るようになる。
私は児童相談所に通い、焦っていた。相談所のカウンセラーがお父さんも一緒だといいのですが、と言われたが夫は断固として拒否していた。
夫はこのときまだ子供の異変の重大さに気付かず相変わらず夜中に帰宅していた。

小学校では学校側、特に校長と担任の丁寧な配慮で次女はどうにか卒業できた。
長女のほうは元気いっぱいでクラスの友達を引っ張って楽しいと言いながら学校へ行っていた。
私は夕方六時から八時までいつも通り塾をやっていたので、子供達は就寝までの時間を各部屋で過ごし、家族の団欒はゼロに等しい生活を余儀なくされていた。

作品名:居なくなった人たち 作家名:笹峰霧子