居なくなった人たち
その2
夫は定年を一年先に控えて病気で倒れた。
脳の病気だったので健常者のような振る舞いはできず、私にはときどき暴力を振るうことも多かったが、哀れな晩年を送って亡くなった。
母は夫の死ぬ前に亡くなっていた。静かな老衰だった。
私は母にも夫にももっと優しく接してやれば良かったと思った。
母は沢山のお金をくれたし、夫は生家の土地で不動産を増やし、私の老後の生活が豊かに暮らせるようにして亡くなった。
子供たちは大学を卒業後転職もしたが、今では会社を経営する長女と所長代理の次女は元気で忙しくしている。
孫娘は母親と同じ大学に入学した。