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交換による解決

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 それで、悪い虫を最初に起こしたのが、奥寺だったのだが、奥寺自身が、精神的に弱かったので、その場を取り仕切ったのが、小笠原だった。
 そして、その場所というのが、実は、小笠原が自殺したとされる、
「F県の樹海」
 であり、さらに、襲われて自殺をしたのは、その奥にあった大学のゼミサークルに来ていた研究員だったのだ。
 実際に、正義感を振りかざしてはいるが、実際には、二人は大悪党だというわけで、実際に、その秘密を知ったのが、孫の小笠原だった。
「奥寺をゆする」
 ということで、小遣い銭をせびろうとしたというのは、遺伝からであろうか。
 さすがに、議員をゆするというのは、無謀なことであり、もう奥寺も、学生時代と違って、そこまで臆病ではない。
 しかし臆病なことには変わりなく、
「自分は強い」
 という思い込みから、
「小笠原幸之助」
 をまず殺したのだ。
 そして、今度は、逃げようかとも思った奥寺だが、
「せっかく選挙にも勝てた」
 ということで、今の地位を捨てるのはもったいないと思ったのだ。
 そこで、
「小笠原幸一に追い付かれる」
 という形で、形式上、
「敵を取られた」
 という形になったのだ。
 それを思えば、
「小笠原幸之助の名誉」
 と守ったという形になってしまったが、
「爺さんに対しても、このままでは嫌だ」
 ということで、
「爺さんが殺された」
 ということにしてしまうと、
「自分が敵を討った」
 ということになってしまい。それは自分で許せなかったのだ。
 だから、幸一とすれば、
「爺さんはあくまでも、自殺であり、奥寺も自殺にしないといけない」
 ということになるのだ。
 しかも、奥寺が、
「何者かに殺された」
 という線も残しておきたかった。
 そうしないと、
「危険を犯してまで、奥寺を葬った理由がない」
 と考えたからだった。
 事件の真相に関して
「どこまでが本当のことなのか?」
 というのは、
「事件の関係者が誰も生きていない」
 ということで、闇から闇になってしまった。
 たた、この事件において、
「二人の刑事の、交換推理」
 というのは、当たっていた。
 証拠というものも、勝手に出てきたわけではなく、
「交換推理」
 というものをしてみたことで見つかった証拠があったことから、
「事件の真相」
 というものが、どんどん絞られてきて、最終的に、
「二人のそれぞれの推理というものを照らし合わせ、矛盾のないところ」
 というものが真相だということになったのだ。
 実際に、二人の推理というものにおいて、
「矛盾点は結構あった」
 といってもいい。
 それは、最後の推理に置いても同じことであった。
 それなのに、最後の最後で、
「事件の大団円」
 というものを見誤っていたと、まわりの人は感じただろう。
 というのは、
「真犯人を検挙できなかった」
 ということであり、真犯人である小笠原幸一は、自害したのであった。
 そもそも、二人が自害と思わせておくのが賢明なこの事件において、
「最後には、真犯人が自殺をした」
 というのは、実に皮肉なことであった。
 それだけ、
「事件というのは、先が読めない」
 ということであり、
「最後の最後で、取り逃がす」
 というのは、
「二人の人情からくるものなのか?」
 あるいは、
「マイナスにマイナスを掛ける」
 ということからくるものなのか?
 それが、この事件の
「最後のミソ」
 ということになるのだった。

                 (  完  )
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作品名:交換による解決 作家名:森本晃次