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表裏別離殺人事件

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 事件は、ここまで考えられると、あとは、推理というよりも、実際の捜査において、
「時間が、解決してくれる」
 ということで、
「物証を集める」
 ということであった。
 容疑者は、敷居を下げて、幅を広げれば、数人出てくることになったわけで、しかも、
「犯人は、男性ではない」
 ということであれば、探しやすかった。
 といって、
「男性ではない」
 ということは、別に、
「女性だ」
 といっているわけではない。
「男装をする女性」
 であったり、
「同性愛者である女性」
 ということでもいいわけだ。
 実際には、後者だった。
 しかも、実行犯は意外にも、
「被害者の親友」
 ということであった、
 この業界では、同業者が友達になるというのは、そこまではないだろう。
 特に、同じ店の女の子同士、顔見知りということはまずないといえる。
 確かに、
「ホームページなどで意識はする」
 ということであろうが、同じ屋根の下にいるとしても、
「自分をいつも指名する人がために、別の女の子を指名する場合があったりして、それは客の自由なのだろうが、もし、二人が鉢合わせをすれば気まずくなり、その客が二度と店に来なくなれば、太客を失いかねない」
 それは店としても、大きな損失になるということで、
「店の中ではなるべく、女の子は、その日の指名してくれた客か、男性スタッフ以外とは合わないように、男性スタッフの方で気を遣っている」
 ということになる。
 だから、基本的に、女の子同士が仲良くなるということは珍しかったりするだろう。
 しかし、つかさは、仲がいい女の子がいた。
 そもそも、つかさが彼女をこの世界に誘ったわけで、そういう意味で、嫉妬が生まれたというのは、
「仲がいい」
 ということの裏返しだったといってもいいだろう。
 今までも、実行犯がつかさを誘ったり、逆につかさが、実行犯を呼ぶということもあった。
 そこに、犯人グループは目を付けたのだった。
 彼女が逮捕されれば、あとは芋ずる式だった。
 実行犯を見た樋口刑事は愕然とした。
「この子は洗脳されている」
 と感じたからだ。
「ここまでするなんて」
 と、犯人グループのやり方に、苛立ちを覚えるというのも無理もないことで、
「そこまでしないと守れない組織なんて、すぐに潰れるわ」
 と思っていたが、この事件がきっかけで、本当に、やつらの組織は潰れることになったのである。
 そもそも、捕まったことで、実行犯の洗脳もとけた。それには、神経内科の先生であったり、
「催眠療法のプロ」
 といわれる先生に催眠を解いてもらったことで、事件が、ハッキリとしてきたからであった。
 実際に、組織の解体は、
「公安」
 に引き継がれることになったが、これほど、
「分かってしまえば、ある意味単純な事件」
 というものを、
「余計な細工」
 というものをすることで、実に簡単に看破されることになるとは、犯罪グループは、
「自分たちがプロだ」
 という意識があっただけに、相当ショックだっただろう。
 もっとも、それぞれプロなのだから、自分たちの間で、いくら仲間のスタッフということで、
「あいつには負けられない」
 という意識が強くでれば、結局は、
「一枚岩ではないのだ」
 つまりは、
「壊れ始めると早い」
 ということで、その元は、
「結局、風俗業界を甘く見ていた」
 ということである。
 警察は、
「樋口刑事のその感覚が、功を奏した」
 ということになるが、犯人側は、
「それが命取りになってしまった」
 ということになる。
「表裏がハッキリと別れた事件」
 ということになるのだろう。

                 (  完  )
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作品名:表裏別離殺人事件 作家名:森本晃次