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悪魔と正義のジレンマ

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 と書いている。
 それについて。専務がいうには、
「博士は、とにかく、世間や政府があまりにも、死というものに対して、見ないようにしているのは、罪なことではないか? と考えるようになったんです。それを私たちが一緒に考えるようになり、その心痛からか、博士は、志半ばで、命を落とすことになった。それが私には気の毒で、そしてやりきれないんです。今後どうなるか分からないが、博士の最後の希望は叶えてあげたかった。そして、博士の研究をこれからも続けられるかどうかというのは、神のみぞ知るということになるのではないかって、今の私は、そのように感じるのです」
 という。
 奥さんも、同じような話だった。
「主人は、神になりたかったわけではなく、神がどうして、十戒を作ったのかということを知りたかったんでしょうね。そしてそれは結局、人間が作ったものであって、神の名を語っているだけ、それを考えれば、自分が神として君臨してもいいのではないか? ということまで考えたんです、私はそれをいいと思いました。私たちの考えは、世間で見え場狂っていると思われるかも知れませんが、私はこれでいいと思っています。そして、いずれ、この考えが、当たり前のようになる時代が来るはずです」
 といっていた。
 今回の事件は、専務なる人間が、共犯ということで逮捕はされたが、執行猶予がついた。博士は、自殺かどうかが論議されたが、結局、自殺ということになった。
 実行犯の少年は、刑事罰を与えられることはなく、少年使節に送られた。
 結局、
「高千穂研究室:
 は、博士が自殺ということで、大学側が世間体を考えて、閉鎖することになった。
 まるで、この事件の終結は、最初から計画されていたかのように片付いた。
「結局、この世は、力が強い者が勝つんだ」
 ということで、河合刑事は、虚しさだけしか残らない、後味の悪い事件であった。
 事件がすべて解決してから、数日後、奥さんが自殺をしたのだが、世間で騒がれることはなかった。そして、これで事件はすべてが終わり、すべてが、水泡に帰したということになるのであった……。

                  (  完  )

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作品名:悪魔と正義のジレンマ 作家名:森本晃次