小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

自殺というパンデミック

INDEX|18ページ/18ページ|

前のページ
 

 さらに、ホストは殺害されたので、現れてはいなかったが、女性二人の胸に現れたハート形の痣。一気に捜査は進んだ。
 この薬は、実は、ある
「犯罪組織によって開発されたものだった」
 ということであるが、当初の目的とは別に、副作用として、
「自殺をしたくなる」
 という、実際には、
「自殺菌」
 と呼ばれるものがあり、それを抑制する力があるというものだった。
 人間、心のどこかで自殺を考えている。
 実際に自殺をする人は一握りだが、実際には、ちょっとしたことで自殺をする傾向にはあるらしい。
 それが自殺菌というもので、その菌が発動すれば、確実に自殺を遂げるというもので、それが薬の副作用だったのだ。
 元々は、新種の麻薬のつもりで、
「資金源になれば」
 ということでの開発だったようだが、それが、間違って
「裏の市場」
 に流れてしまった。
 それをヤバいということで、下手に動けば、自分たちの立場が怪しくなるということで、そのまま状況を見据えるということでいかできない状態になった。
 それが、中途半端な形で広まることになり、
「本来なら、解毒剤のようなものの開発も必要」
 ということなのに、それもないまま、出回ってしまった。
 幸い、
「自殺ということが表に出た」
 ということで、事件にはならなかったが、さらに、その副作用として、
「二重人格が表に出てしまう」
 ということ、さらに、
「同性愛を引き起こす」
 ということが、次々に副作用として巻き起こってきたのだ。
 そして、その証拠というべきか、身体に烙印が押され、それが、
「胸にあるハート形の痣」
 ということだったのだ。
 薬とすれば、
「これほど中途半端で未完成なものはない」
 ということであるが、これこそ、洗練すれば、
「完全犯罪たりえる」
 といえるのではないだろうか?
 そこに、まだ組織は気づいていない。とりあえず、副作用を抑えるための、
「解毒剤の開発」
 というものに躍起になっているということだ。
 つまり、
「組織の連中は、完全に、流れから何歩も遅れてしまっている」
 ということが致命傷になっている。
 それがどういうことなのかというと、
「自分たちが想定していたよりも、早く、事態が進行してしまっている」
 ということになり、
「自分たちの立場は、風前の灯火だ」
 と考えるようになった。
 そうなると、彼らからすれば、
「なりふり構わずに、隠蔽に走らなければならない」
 ということになる。
 ただ、その際、
「自分たちの存在を世間に晒してはいけない」
 というのが当たり前ということになり、
「殺人などということはしてはいけない」
 ということであった。
 だからと言って、この自殺の効力を使うのは、禁じ手であり、それこそ、
「本末転倒な行動だ」
 といってもいいだろう。
 それが、結局、今の、
「ドミノ倒しのような事態を引き起こしている」
 といってもいいだろう。
 そう、この薬には、伝染性もある。
「性交渉を持つことで、伝染する」
 ということが分かったのだ。
 だから、この三人、
「ホストのクズ。そして、つかさ。いちか」
 とそれぞれに、性交渉を持ったことで伝染し、
「自殺する」
 ということになったのだ。
 だから、ホスト殺しの男が、
「放っておいても、自殺するつもりだったんだ」
 ということが分かったのだろうが、
「ではなぜ、この男にそれが分かったのか?」
 そこまでは誰も分からない。
 一つ言えるのは、
「清水刑事の顔を見ることで察した」
 ということだ。
「事件が社会問題になるまでに、時間が掛からなかった」
 ということであるが、この殺人犯が清水刑事を見て察したということが、社会問題ということの原点だったに違いない……。

                 (  完  )
64